スイーツ鍋
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第一章
スイーツ鍋
佐藤ゆいこは一人暮らしで猫と一緒に暮らしていることはクラスでは誰もが知っていることである。
だがその暮らしている場所が出入り口のチェックが厳しい女性限定のマンションで親戚が同じマンションに暮らしているので安全に暮らしている。
その彼女がだ、クラスで友人達に笑顔で言った。
「ねえ、今度面白いお鍋しない?」
「面白いお鍋?」
「っていうと?」
「うん、凄く甘いお鍋」
明るい笑顔で言うのだった。
「それ作らない?」
「っていうとチョコレートフォンデュ?」
「ああいう感じ?」
「溶かしたチョコレートの中にお菓子とか入れて食べる」
「よくビュッフェとかにあるわよね」
「カスタードクリームでもあったわね」
「そういうのかしら」
友人達はゆいこの提案を聞いてこう考えた。
「だったらありよね」
「そうよね」
「どんなのか大体わかるわね」
「美味しそうね」
「いけるかも」
「うん、そんな感じでね」
ゆいこも否定せずに答えた。
「皆で作って食べない?」
「いいわね」
「じゃあ皆で食材買ってね」
「お菓子とか果物とか甘いものね」
「それで皆で作って食べる」
「面白そうね」
「私今ね」
ゆいこは笑ったままだ、その笑みが消えることはない。その笑顔のまま友人達に話をしていくのだった。
「同じマンションに暮らしてる叔母さんが出張なの」
「確かゆいこっちのお母さんのお姉さんよね」
「ご主人が交通事故でお亡くなりになって今は一人暮らしの」
「ゆいこっちの保護者よね」
「今そうなのよね」
「住んでるお部屋は違うけれど御飯は一緒に食べてるの」
そうしているというのだ。
「けれど今回出張が長くて」
「それで寂しくなって?」
「パーティーしてなの」
「寂しさも紛らしたくなったの」
「そうなったのね」
「猫がいる分かなりましだけれど」
それでもというのだ。
「やっぱりね」
「寂しくなって」
「それでなのね」
「パーティーして」
「その寂しさ紛らわせたくなったの」
「昨日の夜思ったの」
やはり笑顔は崩れない、今も。
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