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レーヴァティン

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第七十話 セビーリアに向かいその十

「下手な政策も放置も出来ません」
「どっちもだな」
「バランスのよい政治です」
「それが大事か」
「はい」
「そうなるか」
「基本どの宗教宗派にも肩入れせず」
 そしてというのだ。
「悪い芽は摘み取り波風も立てない」
「それが大事か」
「宗教政策は、そして」
「そして?」
「出来れば。私達はこの島のどの宗教宗派の信者でもないので可能ですが」
 ここで順一が言うことはというと。
「宗教を政治に入れない」
「それか」
「宗教は宗教で」
「政治は政治か」
「そうあるべきです」
「そこはです」
 これまで部屋の隅で黙々と書を読んでいた進太も言ってきた、彼もまた神学の本を読んでいたのだ。
「分けないと」
「駄目だよな」
「若し宗教が政治に関わりますと」
「特定の思想に政治が独占されてな」
「色々と問題が生じるでござる」
「そうなんだよな」
「これはイデオロギ―も同じでござる」
 進太は自分達の世界のことにも言及した。
「共産主義然り社会主義然り」
「どっちにしてもな」
「コミュニズムやナチズムもでござる」
「というか一緒だよな」 
 久志は腕を組み顔を上にして進太に応えた。
「この場合共産主義も社会主義も」
「そしてコミュニズムもナチズムも」
「政治が一つの思想だけ認めなくなったら他の思想を潰していくからな」」
「はい、そうした特定のイデオロギーに政治を独占されていきますと」
「独裁国家になってな」
「あの様になってしまうでござる」
 ナチスやソ連の様な国家になってしまうというのだ。
「それと同じでござる」
「そうだよな」
「それは宗教も同じでござる」
「国教とか定めたらな」
「他の宗派、宗教を弾圧してしまうでござる」
 これもまた欧州で実際にあったことだ、ローマ=カトリック教会こそが絶対となりその十字軍や宗教戦争が起こっている。
「だからでござる」
「宗教を政治に関わらせるな、か」
「特にこの島そして世界は」
「宗教が複数あるからこそ」
「それは避けるべきでござる」
「そうだよな、政教分離ってな」
 久志はこの政治と宗教を分けていくというシステムについてさらに述べた。
「政治が宗教に介入するのを防ぐんじゃないよな」
「それは二十世紀後半の日本だけの考えですね」
 順一がすぐ言った。
「戦前の天理教や大本教への弾圧、神道の国教化への批判として」
「そう言われていたんだよな」
「実際は戦前の日本の宗教弾圧では犠牲者は出ていません」
 精々入獄程度であった、天理教も大本教も死んだ人は出ていない。 
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