戦国異伝供書
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第十話 朝倉攻めその二
「だからじゃ」
「今のうちに降す」
「例え宗滴殿が健在でもな」
それでもというのだ。
「そうするぞ」
「では」
「うむ、これ以上従わぬならな」
それならばというのだ。
「兵を出すぞ」
「わかり申した」
「して殿」
池田も信長に言ってきた。
「十万の兵を以て攻めるとのことですが」
「そのつもりじゃ」
「我等もですな」
「無論お主達には皆出てもらう」
「十万の兵の将として」
「そうじゃ、当然お主もじゃ」
信奈は池田自身にも告げた。
「戦ってもらうぞ」
「わかり申した、それでは」
「そして爺」
信長は平手にも顔を向けて彼に告げた。
「その間はいつも通りな」
「はい、留守をですな」
「宜しく頼む」
平手にはこう言うのだった。
「よいな」
「はい、それでは」
平手も主に応えた。
「その時はお任せ下さい」
「ではな」
「では殿、これよりですな」
「戦の用意を進めよ」
信長は今度は林に応えた。
「十万の兵を越前に動かす用意をな」
「畏まりました」
「そして竹千代にもじゃ」
家康のことにも言及した。
「あ奴にも応援を頼むか」
「徳川殿にもですか」
「うむ、五千の兵と主立った将達を持って来てもらってな」
そうしてというのだ。
「共に戦ってもらうか」
「徳川殿の兵は見事なものです」
三河武士達についてだ、林は感銘と共に述べた。
「攻めにも守りにも実に強いです」
「ははは、よく当家の兵は弱いと言われる」
信長は自身の兵には笑ってこう述べた。
「どうしてもな」
「そのことも言われますか」
「尾張の頃からじゃった、数は多いが」
今や十九万程の軍勢である、言うまでもなく天下随一の数の軍勢だ。
「しかし個々ではじゃ」
「よく言われますな」
ここで言ったのは荒木だった。
「当家の兵は弱いと」
「東海の西や近畿の者ばかりでな」
「その弱さたるや天下一だと」
「まあ弱い、しかしな」
「それでもですな」
「弱いなりに戦い方がある、そしてな」
「徳川殿のお力もですな」
荒木はまた言った。
「借りて」
「そのうえでな」
「戦としますか」
「朝倉家を降し越前を手に入れる」
信長は既に決めていた、戦になった時は必ずそうすると。
「そしてあの国を治めるぞ」
「して殿、越前の次はどうしますか」
ここで問うたのは香宗我部だった。
「その時は」
「うむ、次はいよいよじゃ」
「武田か上杉、そして毛利ですか」
「この三つの家のどれかと揉めれば」
その時はというのだ。
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