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空に星が輝く様に

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99部分:第八話 ファーストデートその七


第八話 ファーストデートその七

「インドの人がそう言っています」
「カレーライスが和食って」
「元々はイギリスから伝わったもので。インドはイギリスの植民地だったのでその関係でイギリスから日本に伝わったんですよ」
「へえ、イギリスからだったんだ」
 陽太郎はそれを聞いてその目を少し丸くさせた。蕎麦を食べながら。
「インドからじゃなくて」
「斉宮君さっき海軍の軍服のこと話されましたよね」
「うん、それも関係あるんだ」
「そうです。イギリス海軍で食べていたカレーが日本風にアレンジされたのがカレーライスなんです。日本海軍が取り入れまして」
「ああ、それで海軍なんだ」
 ここまで聞いて頷いた陽太郎だった。
「そういうことだったんだ」
「そうなんです。それで」
「和食になるんだ」
「もっと言えば洋食ですけれどその洋食にしても」
 月美の話はそのまま続く。
「あれじゃないですか。明治時代に御先祖様達が西欧の料理から作ったものですから」
「日本の料理になるんだ」
「そうですよ。洋食も日本の料理です」
 はっきりと言い切ったのだった。
「ですからカレーも」
「インド人にしてみれば和食か」
「はい、そうなります」
「成程。カレーも食べればよかったかな」
 ここでこんなことも言った陽太郎だった。
「流石に牛丼にざる蕎麦の後だからな」
「ざる蕎麦っていってもここのお蕎麦って」
「ああ、多いだろ」
「優に三人前はありますよ」
 それだけあるというのである。その量は確かにかなりのものだ。
「これだけあればもう牛丼の分も入れて」
「お腹一杯になるよな」
「後はですね」
「後は?」
「デザートもありますし」
 それも言うのであった。
「お饅頭どうですか?」
「ああ、デザートもあったんだ」
「はい、和食尽くしですし最後もそれでどうですか?」
「いいね、じゃあそれで行こうか」
「このお店お饅頭あります?」
「あるよ。むしろお饅頭よりもさ」
 陽太郎も月美の話に乗った。そのうえで言ったのである。
「餡蜜とかあるけれど」
「餡蜜ですか」
「好きかな、ここの白玉餡蜜って絶品なんだけれど」
「はい、じゃあそれで」
 月美はまたしてもにこりと笑って答えた。どうやらその白玉餡蜜もまた彼女の好物であるらしい。陽太郎はその彼女を見てまた言うのだった。
「それにしてもさ」
「それにしても?」
「西堀って結構何でも食べるんだね」
 このことに気付いたのである。
「パンだけかと思ってたのに」
「私食べるの好きなんです」
「それもかなり?」
「はい、大好きです」
 これまで以上ににこやかな笑顔だ。それを見ると彼女の考えがよくわかった。月美はとにかく食べることが大好きな女の子なのだ。
「作るのは今勉強中です」
「家でかな」
「そうです。家で作っています」
「いいね、それも」
「お母さんに教わりながら」
 そうしながらだというのである。
「あまり上手じゃないですけれど」
「料理ってのは作っていくうちに上手になっていくじゃない」
 陽太郎はその彼女に微笑んでこう告げた。
「だからさ。それはな」
「それは?」
「特に気にすることないじゃない」
 こう言うのであった。
 
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