繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
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06.そうだ、刑務所に逝こう。
第20回
前書き
前の方は謎のお喋り回となります。すいません
一応琴葉視点です。で、途中からフラン視点です。で、その後琴葉視点です。
「でー、ラル君如何為たのー? いきなりあの場所に来るなんて」
「迷惑首領がまた誰かに迷惑を掛けている予感がしたので。後、『ラル君』は止めろ下さい」
「語尾如何為たし。でも、『キュラル・ゼイク』でしょ? ラル君でいいじゃん」
「せめて君は外せ下さい」
「だから語尾……」
最年少幹部君こと、ラルと喋る。
「ねー主ー膝枕ー」
「何故」
「僕、猫だよ?」
「はい?」
「頑張った僕にご褒美をくれるの。当たり前でしょ」
「え?」
グレースと喋る。
「あーじゃあ僕も」
「おいおいラル、いきなり如何為た。何時もはツンとデレがツンツンツンツンツンツンツンツンツンツンツンツンツンツンツンツンツンツンツンデレくらいの割合なのに、いきなり如何為た」
「迷惑首領に迷惑を掛けたい気分なんです。今は、膝枕をされながら本を読もうかと」
「いやいやいや何故!?」
「本一冊読み終わる頃には足が攣っている事でしょうし」
「マジで迷惑だ止めろ」
「あーるーじー」
「グレースも、何時かのイケメンっぽさは何処へやった」
「嗚呼、主は僕のことイケメンだと思っているんだね? 有難う」
「おい。何時かのやつだったら、その辺の女だったら直ぐに惚れただろうね」
「主は?」
「何やってんだ此奴」
「うわー」
私達は三人で、軍の拠点内に在る庭園で、優雅に紅茶を飲みつつ、会話をしているのであった。
「ねぇねぇねぇねぇ改めて自己紹介しよう」
「いきなり如何為たんですかね、首領」
「いきなり如何為たんかね、主」
「お前等ひそひそやってるけど全部聞こえてんだよボケ」
「言葉遣いが美しくないですよね、首領」
「言葉遣いが綺麗じゃ無いよね、主」
「色気が無いんですよね、首領」
「色気が無いんだよね、主」
「如何為てこう男っぽいんですかね、首領」
「如何為てこう男っぽいんだろうね、主」
「お前等いい加減怒るよ?」
「「さーせんさーせん」」
「殴って良い?」
「で、自己紹介。軍の首領で、有り得ないほどツンデレな幹部から『迷惑首領』と呼ばれている可哀想な首領、黒華琴葉だよ。黒猫の時のグレースを飼っていることになっているね。能力は、能力を操ったり複製したり出来る」
「軍の幹部で、迷惑首領に『最年少幹部君』とからかわられている、可哀想な幹部、キュラル・ゼイク。人外ではないですよ。能力は、能力の出力を操ることが出来ます」
「軍の幹部で、ラルに色々言われつつも、主への忠誠心は何処までもな、最高な幹部、グレース。猫は仮の姿で、普通に人間。能力は、能力を具体化する事が出来るよ。飴みたいな感じに出来る」
「此の三人の共通点ー。そのいちー、能力が此の世にたった一つしか無いものを持っている-。グレースの能力を遣うと、透明な薔薇の様なものが出来るー能力が特殊すぎて-。にー、面白いくらい強い-。有り得んくらい強いのであるー」
「まぁ、只単に僕達は特殊だと言う事ですよ」
「で、主。何でいきなり自己紹介?」
「するべきな気がしたから!」
「一寸何言ってるか分かんない」
じとーっと言う視線が向けられ、ふいっと視線を逸らすと、ラルが此方を見て言う。
「で、大丈夫ですか? 精神的に」
此れ、意味が分かった自分が辛い。
「大丈夫だよ? 首領に傷つけられて? 兄に捨てられて? 兄を取られたとしても? 私は大丈夫だよ?」
「「バリバリ駄目じゃ無いですかー……」」
「あははー……でも、本当に大丈夫! 気にしてないし、全ては軍の為だから………」
にこにこと、無理矢理笑みを浮かべ、明るく振る舞う。
だが、ラルとグレースは私の前に立って、私の頭をぽんぽんと撫でた。
「「僕達は、ずっと貴女の隣に居ます」」
………子供扱い。本当に止めて欲しい。
だけど、今は何故か嬉しかった。
「……捨てたら殺す」
「捨てる訳無いじゃないですか」
「何を言われようと、離れてあげないから」
顔の紅潮を隠すために、私は席を立った。
◇ フラン視点 ◇
琴葉君が失踪して、一週間。
「探せ………探せッ! 早く!!」
構成員総動員で、彼女を探していた。
「フラン!」
「……葉月君。何か情報でもあったのかい?」
「否……悪ぃ」
白猫の構成員も彼女を探した。
彼女には其程の価値があるのだ。
「失礼します、首領」
「………水城君か」
「少し休まれては……」
「駄目だ」
拳を握り締め、机に打ち付ける。噛み締めた唇から血が流れる。
「早く琴葉君を探さなければいけない………」
椅子から立ち上がるが、直ぐに視界が歪む。此れは拙いなと思うが、体が上手く動かない。
「首領!」
水城君は私の体を支え、流れるような動作で背中に乗せる。隣室に運び、ベッドの上に優しく下ろして、直ぐに布団を掛ける。そうだ、琴葉君は疲労で倒れることが多かったから……
「水城君」
私は小さく彼の名を呼ぶ。その後はい、と小さく声が聞こえた。
「彼女は最後に『聖月さん達が元の世界に帰る日、私達は貴方達を一人残らず殺す』と言っていた。一人でも良い………一人でも良いから、生き残れるように遠くへ逃げさせてくれないか?」
分かりました、そう声が聞こえた時、意識が途切れた。
◇ 琴葉視点 ◇
「………ねぇ。ラル、グレース」
薄暗い自室ベッドに寝転がりながら、部下の名前を呼ぶ。
「何ですか? 寂しいでしょうから、此処で待っていてあげますけど?」
「そうじゃないの………私、此れから何をすれば良いのかな」
急に弱気になって、私ってば如何為たんだろ。
「主は、落ち着くまで何もしなくても大丈夫だよ。僕達だけでも回せるから」
「でもさ……」
躰が震えて、段々と躰の感覚が無くなっていく。恐怖と言うヤツだ。
このまま待っているだけは怖い。何かしなきゃ、自分が保てない。
「落ち着いたら一緒にやりましょう。兎に角、今は休んで下さい」
でも、怖かった。
だって、私が居る意味が分からない。
要らない物は捨てる。其れが普通。
だから怖い―――
「僕達は、絶対に主を捨てたりはしないよ。安心して……」
「怖いなら、一緒に寝てあげましょうか?」
………また子供扱い。
「もう………そんなに子供じゃないよ」
「未だ未だ子供だよ、主は」
「ほら、良い子良い子」
「………馬鹿」
そして三人揃ってベッドに寝転がった。
後書き
迷走中。
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