ドリトル先生と奇麗な薔薇園
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第十二幕その一
第十二幕 薔薇園の心
王子はこの朝登校してその足で先生の研究室に来て憤懣やるかたないといったお顔で先生に言いました。
「先生、昨日の阪神の試合観た?」
「うん、観ていたよ」
先生は王子に答えました。
「相性が出たね」
「十五対零とかね」
ここで言ったのはダブダブでした。
「酷かったね」
「いやあ、打たれまくってね」
トートーも試合の感想を述べます。
「こっちはてんで駄目で」
「エラー三つもあったし」
チーチーは守備のことを言いました。
「それが全部敵の得点につながってね」
「フォアボールで出たランナーが帰って」
得点になっていたことを言うホワイティでした。
「酷かったね」
「こっちはチャンスにあえなく凡退でね」
ジップも呆れ顔です。
「その次の敵の攻撃では得点が入って」
「理想みたいに悪い負け方だったわ」
ポリネシアもこう言うしかありませんでした。
「漫画みたいに」
「というか阪神らしい?」
「そうも言いたくなるわね」
チープサイドの家族もやれやれ顔です。
「あの負け方は」
「しかも甲子園でああだから」
「もう観ていてこれはって思ったよ」
ガブガブもこう言います。
「こんな酷い試合滅多にないって」
「というか本拠地であればないよ」
老馬も嘆くばかりです。
「惨敗も惨敗じゃない」
「しかも調べたらこの三連戦ずっとああじゃない」
「広島は三十三点入れててね」
広島との三連戦自体について言うオシツオサレツでした。
「こっちは四点」
「あのシリーズの再現みたいだったよ」
「僕途中で観るの止めたくなったよ」
王子のお言葉には嘆きすら入っていました。
「あまりにも酷い試合っぷりだったから」
「それが三連戦だったから余計にだね」
「そうだよ、何でカープにはあそこまで弱いのかな」
「毎年だしね」
「あの負け方ばかりでね」
本当にと言った王子でした。
「広島戦になると嫌になるよ」
「だから何で甲子園でああなるの?」
「本拠地で」
「地の利がある筈なのに」
「それでもあんな敗北するなんて」
「ちょっとないよ」
動物の皆も嘆くばかりでした、そして先生もです。
王子にです、困った笑顔で言うのでした。
「幾ら三連覇していて今も首位でもね」
「あんな試合ぶりをしているとだよね」
「今年はどうかって思うね」
「不安になるよ」
今年は優勝出来るのかというのです。
「そうだよね、先生も」
「うん、折角巨人には勝ってばかりでもね」
「巨人は今年も弱いね」
「勝率一割台で打率は二割一分台、チーム防御率は二桁でね」
巨人はそうした状況です。
「エラーは一試合平均五つ、三振は十二」
「圧倒的な弱さだね」
「史上最弱と言っていいね」
「それで巨人には強くても」
それはいいとして、というのです。
「カープにはね」
「ああだからね」
「本当に相性ってあるね」
「何かね、阪神ってチームは特にそれがあるね」
「甲子園ってあれかな」
王子は困ったお顔でこうも言うのでした。
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