歌集「冬寂月」
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五十八
篠突きし
雨に想ひそ
ありければ
流るゝ川も
涙にぞ見え
台風の影響で、竹さえ地へと付かんばかりの土砂降りの雨が降る。
そんな雨だが、もしその一滴一滴に想いがあったなら…そう考えたら、川さえも溢れた涙の様に思えてしまった…。
この酷い天候で…あの人は大丈夫だろうか…。
野分去りて
残るは蒼き
空なれど
心にかゝる
雲は晴れまじ
台風一過…後には秋を思わせる青空が残る…。
荒れ狂った風も激しく地を叩いた雨も、まるで幻だったのかと思わせる透る青い空だが、私の心までは晴れさせてはくれないものだな…。
生きている間は悩まねばならぬ…それが私の人生なのだな…。
辛い…。
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