繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
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06.そうだ、刑務所に逝こう。
第18回
前書き
聖月視点
この世界に来て十五日目。あと半分。
「おはよう、琴葉さん」
「お早う御座います、聖月様」
最近はこの「お嬢様とメイド」みたいな関係が定着してしまった。まぁ、それも琴葉さんのペースが掴めないのが原因なのだが。
直ぐに琴葉さんに買って貰った服に着替え、食堂へ向かおうと部屋を出る。既に琴葉さんは食堂へ向かったから、この場にはいない。
だから気付かなかったのかもしれない。
「あだっ」
扉の前に立っていた人の気配に。
「ああ! す、すいません!!」
「いや、大丈夫。今のは僕が悪い」
………初対面かな。見たことないや。
でも、その人は何か違和感がある。
黒いボサッとした蓬髪に、金色の瞳。この場所には似合わない、無地の黒の長袖のシャツとズボン。
構成員では無さそう………
「君が琴葉が言っていた客人だよね」
琴葉さんを呼び捨てって事は、近くに居る人? だとしたら、全員一度は顔を合わせた筈なんだけどな………リサちゃんとユリちゃんとは遊びもしたし。
「はい………」
「なら、他の人にも伝えといて。琴葉は、君達が元の世界に帰る日、君達の内、誰かを殺す」
「え………?」
「『死にたくないなら、琴葉を殺せ』って、よろしくね」
◇ ◆ ◇
「明日は君達に、私達の仕事の見学をして貰おうと思う!」
いや、あの。
フランさんに呼び出されて来たら、いきなりそれですか? 一ヶ月生き残れって言うのはこういうこと………?
「まぁ、固くならなくて良いよ。今回は護衛として、折笠君をつけるから」
「折笠響也だ。幹部をやっている」
琴葉さんじゃないんだ………もしかして、今朝の事は本当って事?
「琴葉じゃないんですか」
レンの敬語……? 久し振りに聞いた気がする。
「嗚呼、黒華君ね………」
あれ? フランさんは琴葉さんのこと、「黒華君」じゃなくて「琴葉君」だった気が………
糸を見れば分かるかな。
目を凝らして行くと、段々と青い糸が見えてくる。糸を見えないようにするには、そう念じながら瞬きを。青い糸を見えなくすると、赤い糸が一本と、少し黒に近い赤の糸が一本残る。確か、「喧嘩」だったかな。
つまり、フランさんは琴葉さんと喧嘩をしているって事? 琴葉さんの方も見ないと分からないけど………
「失礼します。首領、先日の会議の資料をお持ちしました」
「嗚呼、水城君。丁度良かった」
「はい?」
「『聖月さん達は折笠君の所だ。今日の夜、倉庫へ』」
「畏まりました」
どう言うことだろう。
「それじゃあ、彼等をよろしくね。折笠君」
◇ ◆ ◇
「聞きたい事は?」
「琴葉さんとフランさんは、喧嘩しているのですか?」
「能力について、喧嘩した。無理矢理首領が琴葉に手を出したから、どっちも反省して、距離を取ってる。分かりやすく言うなら、恋人の喧嘩だな」
「分かりにくいですね」
「まぁ、其処に至るまでがヤバくてな。琴葉には首領の話を、首領には琴葉の話をしない方が良いぜ」
「はい……」
「あ。響也さんと琴葉さんは、どっちの方が背、高」
「打っ殺されたいのか」
「あ、いや。すいません」
「まぁ、俺の方が高いけどな。彼奴の部下の双子とか、幹部補佐の弟とか、拾った奴とかを抜けば、彼奴が一番小さい。其の次が幹部補佐。俺じゃ無いからな」
「あ、はい」
「あ"-、響也さんと琴葉さんはどーゆー関係?」
「幼馴染み的な感じだ。あと親友」
「フラン様の邪魔をするつもりは?」
「そのつもりしか無い」
「マジか……」
「まぁ、後は今度……」
「あの!」
「何だ?」
「この組織に、黒の蓬髪で金色の瞳……で、周りから浮いた格好をした人って居ますか?」
「………あー、俺は知らないな。何処に居たんだ? 其奴」
「私が使わせて頂いている部屋の前です」
「…………黒の蓬髪とか、浮いた格好とかは分からないが、金色の瞳なら心当たりがある」
「誰ですか!?」
「琴葉が飼っている黒猫、グレースだ」
「…………猫?」
「彼奴は不思議な奴でなぁ。落ち込んでいると、何故か擦り寄ってきたり、琴葉に悪戯を仕掛けてやろうと思うと、彼奴の書類の山を崩してくれるし……って、兎に角すげぇ猫なんだよ」
「その猫が人間になることは可能なんですか……?」
「さぁな。俺にはサッパリ分からねぇ。まぁ、探しといてやるよ。彼奴の客人の願いだ」
「「「「「「「「響也さん、かっけぇ………」」」」」」」」
後書き
最後の方全部会話文…………すいません。
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