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509部分:第四十話 それぞれの幸せその八


第四十話 それぞれの幸せその八

「そうした人間は法律もルールも関係ない」
「悪事が公になってもだね」
「平気。訴えられても裁判に負けないと平気」
「そして嘘を吹聴し続けるんだね」
「そんな人間には容赦しない」
 言葉が鞭になっていた。怒りの鞭だ。
「けれど。そうした人間じゃなくて」
「その人に良心があったら」
「その人は救われる」
 そうなるというのである。
「そうでない人間は絶対に救われないけれど」
「それがこの世の摂理なんだね」
「その通り。幸せも色々」
 幸せについても話すのだった。
「あるから」
「それを見つけていけばいいんだ」
「吹っ切るのが難しい場合でも吹っ切って新しい幸せを見つければいいから」
「一つの幸せにこだわらなくても」
「別の幸せがある。世の中はそう」
「うん。じゃあ」
 赤瀬も椎名の話を聞いていく。じっとだった。
 そしてそのうえでだ。椎名は赤瀬に顔を向けてだ。穏やかな顔で述べた。
「私達も」
「僕達も?」
「赤瀬と出会えたことが私の幸せ」
 こう彼自身に話すのだった。
「それはずっと大事にしたいから」
「有り難う」
「だから。今度のデートはね」
「デートは?」
「何処にする?」
 二人もまただ。デートの話をするのだった。
「一体何処に」
「そう。面白い場所がいいかも」
「面白い場所?」
「例えば遊園地」
 彼女もそこだというのである。
「そこで遊ぼう」
「あっ、いいね」
 赤瀬も椎名のその提案に笑顔になる。
「それじゃあそこにね」
「行こう。それで最初は」
「何処に行くのかな、遊園地の中の」
「メリーゴーランド」
 そこだというのである。
「メリーゴーランドに行こう」
「メリーゴーランド好きなんだ」
「メルヘン好きだから」
 彼女の意外な趣味である。実はこれは赤瀬も知らなかった。誰にも明かすことのない、その趣味を今はじめて話したのである。
「それで」
「そうなんだ。じゃあ僕も」
「赤瀬もそれでいいの?」
「そう、いいから」
 椎名を見てだ。笑顔で話す彼だった。
「椎名さんがそれで幸せなら」
「有り難う」
 椎名は赤瀬の言葉にまた笑顔になった。
「それじゃあまずはメリーゴーランドに行って」
「それから別の場所にだね」
「赤瀬は何処に行きたいの?」
「僕はジェットコースターかな」
 彼はそこだった。
「体重制限に引っ掛かるかも知れないけれど」
「それでもなんだ」
「うん、できれば行きたいね」
 照れ臭そうに笑って椎名に述べる。
「そうしたいんだけれどね」
「わかった。それじゃあ」
 二人もこんな話をした。そうしてなのだった。
 それぞれのカップルは幸せに向かっていた。その幸せを感じてだ。
 その中でだ。陽太郎はだ。家族と話すのだった。
「あのさ」
「月美ちゃんのこと?」
「それか?」
 母と父はだ。すぐに息子に応えてきた。今一家でリビングにいてソファーに座りながらテレビを観ている。そのうえで話をするのだった。
 
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