レーヴァティン
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第六十八話 女枢機卿その一
第六十八話 女枢機卿
一行はその日の朝は日の出と共に起きた、そうしていつもより早い朝食を市場で早いうちから開いている店で買って食べてだ。
それからローマの中心にある枢機卿達がいる大寺院に向かった。そこは流石にサン=ピエトロ寺院ではなかったが。
その円形の屋根を持つ見事な寺院を見てだ、淳二がこう言った。
「流石だね」
「この島でのカトリックの聖地だからか」
「うん、凄いね」
その見事な白亜の寺院を見つつ久志に話した。
「神様がおわす場所って思えるよ」
「それはな」
久志もその神聖さを感じさせる寺院を見つつ淳二に話した。建物は幾つもあり多くの十字架が突き出た部分の先にある。鐘の音や讃美歌もその中から聴こえてくる。
「俺も感じるな」
「そうだね、ただね」
「その中ではだよな」
「神様もいるけれどね」
「悪魔もいるか」
「人間の本性の中にあるね」
それもというのだ。
「どちらもいるから」
「この世で最も神聖だって言われてるよな」
久志はあえてこう言った。
「教会の総本山だからな」
「そうだよね、けれどね」
「陰謀も渦巻いていてか」
「そう、それでね」
「神様もいればか」
「悪魔もいるんだよ」
今自分達が見ている白亜の大寺院にはというのだ。
「その双方がね」
「成程な」
「そう、けれどね」
「それでもか」
「それは結局人間だからね」
「今御前人間の本性って言ったな」
「そう、人間の本性っていうのはね」
今自分が話したそのことについて話した淳二だt6た。
「結局のところはね」
「善悪聖邪があってか」
「一緒にね。だから神様も悪魔もね」
善と聖、悪と邪がというのだ。
「教会にもいるんだよ、特に権威や権力がある場所だと」
「その権威や権力を握る為にか」
「果てしない陰謀や権力闘争があって」
「そこに悪魔がいる、か」
「そうしたものだよ。本当にね」
このことはというのだ。
「何処でもそうだけれど特にね」
「教会、その上にある寺院はか」
「そうしたものだよ。じゃあね」
「これからか」
「その神様と悪魔が一緒にいる場所に入ろうね」
「そしてな」
久志は淳二の言葉に頷きつつさらに言った。
「中で会うか」
「うん、十人目の枢機卿さんにもね」
「そうするか。しかし本当に枢機卿さんとかな」
久志は十人目がこの立場にあることについてまた言及した。
「どれだけ凄いんだよ」
「女王様っていう位だね」
「そうだよな」
枢機卿の地位と権威は王侯に匹敵する、それならば女王だというのだ。
「まさに女王だな」
「そこまでの人だね」
「そう思うと余計に凄いな」
「一体どうしてそこまでなったのかもね」
「本人に聞くか」
「そうしようね」
「じゃあ今から中に入りましょう」
留奈も言ってきた。
「そうしましょう」
「そうしような」
留奈の言葉にも頷いてだ、そしてだった。
一行は大寺院の門番、スイス傭兵の様に武装して立っている彼等に声をかけた。するとその門番達は。
一行の代表者である久志にだ、怪訝な顔で問うた。
「貴殿等は一体何者か」
「それがわからないとだよな」
「この中には入れられぬ」
こう言うのだった。
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