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ドリトル先生と奇麗な薔薇園

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第十幕その十

「僕にとってはね」
「全く受け入れられないものだね」
「そうだよ」
 先生にとってはです、暴力を否定する先生にとっては。
「そもそも僕は武力だって用いられないね」
「うん、先生フェシングや射撃はね」
「全く駄目だよ、どちらも持ったことは持ったことがあるけれど」
「それでもね」
「殆どなかったよ」
 そもそもスポーツが大の苦手の先生です、それでそうしたことが出来る筈がありません。これはレスリングやボクシング等格闘技も同じです。
「それじゃあね」
「とてもだね」
「武力も用いられないよ」
「そして暴力はさらに」
「否定しているからね」
「だから先生はね」
「ああした人達とはね」
「相容れられないね」
「とてもだよ、あの人達は自分のことしか考えていないしね」
 日本で騒いでいるあの人達はというのです。
「僕とは違うよ」
「うん、先生が正しいよ」
 王子は先生にはっきりと答えました。
「僕はそう思うよ」
「そうだとすると嬉しいよ」
「それにね」
「先生はね」
 さらにお話をする王子でした。
「その心に薔薇があるね」
「僕に?」
「うん、とても奇麗で確かな心だからね」
 それでというのです。
「オスカルさんとは違う薔薇だけれどね」
「そうなのかな」
「そうだよ、オスカルさんは白薔薇だったみたいだけれど」
「僕の心にもなんだ」
「薔薇があるね」
「それはどうしてかな」
「とても奇麗で確かな心だからだよ」
 王子は先生のそのお心をはっきりと感じました、それでこう先生ご自身に言うのです。
「そう思うよ」
「そうだといいね」
 先生は王子のお言葉に笑顔で応えました。
「僕も」
「うん、先生の薔薇は」 
 それはといいますと。
「何かな」
「さて、どんな薔薇かな」
「それはまだはっきり言えないけれど」
 王子は先生を見つつお話をします。
「先生のお心にも薔薇があるよ」
「そうなんだね」
「うん、じゃあいよいよかな」
「あっ、もう開演だよ」
「その時間だね」
「そうだよ」
 先生は王子だけでなく他の皆にもお話しました。
「いよいよね、それじゃあね」
「今からだね」
「舞台を観ようね」
 ベルサイユの薔薇の舞台をというのです。
「そうしようね」
「待ってました」
「それじゃあね」 
 動物の皆も応えます、そうしてでした。
 皆でベルサイユの薔薇を観ました、舞台では実際に薔薇や他のお花の造花がふんだんにそれこそ花吹雪の様に使われ香水の香りもして。
 とても華やかな舞台でした、それで動物の皆も言いました。
「お金のことを考えてね」
「それでやっていた舞台でも」
「何かね」
「凄くよかったね」
「華やかな感じだったわ」
「うん、凄くよかったね」
 観終わった先生も満足している感じです。 
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