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アニメ主題歌

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第四章

「皆さんの曲は」
「はい、そうなってます」
「一人一人の作詞作曲よりもいいんで」
「そっちの方が出来がいいんで」
「四人でやっています」
「そちらのお仕事もどんどんお願いします」
 作詞作曲の仕事もというのだ。
「我が社の所属声優の歌の場合も」
「ああ、同じ事務所だから」
「だからですか」
「声優さんの歌もですね」
「作詞作曲を」
「皆さんロックもバラードもポップスも出来ますので」
 そうした多彩さもこのグループの長所である。
「ですから」
「そちらのことでもですか」
「仕事があるんですね」
「俺達が事務所に所属したら」
「そうなるんですね」
「そうです、如何でしょうか」
 男は四人にあらためて問うた。
「このお話は」
「あの」
 アダムは考える顔でだ、男に答えた。
「一度グループでお話していいですか」
「はい、四人グループですから」
 もうわかっているという感じでだ、男もアダムに返した。
「じっくりとお話して下さい」
「そうしてですね」
「決めて下さい」
 穏やかかつ冷静な口調での返事だった。
「返事は今すぐでなくてもいいです」
「それでは」
「一度東京に戻りますが」
 名刺を差し出してだ、四人に言った。
「名刺に書いてある私の電話番号にです」
「返事をですね」
「して下さい」
「わかりました」 
 アダムも応えてだ、そしてだった。
 実際にだ、アダムは男が帰ってからメンバーを彼の部屋に集めた。そうして真剣に話をした。
 アダムは仲間達にだ、その真剣な顔で問うた。
「どうすればいいと思う」
「受けるべきか受けないべきか」
「それだな」
「そういうことだよね」
「メジャーデビュー出来る」
 このことをだ、アダムは言った。
「契約すればな」
「CDも出るな」
「仕事もきそうだな」
「そのお金はありそうだね」
 三人もそれぞれ言った。
「結構いい話かな」
「デビュー出来て仕事も用意出来る」
「悪い話じゃないだろ」
「それでもな」
 仕事としては悪い話ではない、しかしだった。
 アダムはその『しかし』についてだ、三人に話した。
「アニメか」
「それでゲームか」
「俺達が考えていた仕事じゃないな」
「ちょっとね」
「正統派のバンドデビューをしたかったんだがな」
 普通に事務所と契約してライブをしてCDを売ってとだ、アダムはこのことを仲間達に対して言うのだった。
「それが、だからな」
「アニメの曲か」
「どうだろうな」
「何か微妙な感じだね」
「そうだな、どうしたらいいだろうな」
 仲間達に問うた、だがだった。
 誰もどうすべきかとはっきり答えられなかった、メジャーデビュー出来てしかも仕事も最初から結構きそうだ。だが。
 アニメやゲームでの話だ、それで彼等は正統派バンドとしてどうかと思った。それで四人共どうすべきか正直戸惑っていた。 
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