空に星が輝く様に
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474部分:第三十七話 星座その四
第三十七話 星座その四
「新しいのを」
「そうできたらいいけれど」
「前向きにいくといい」
椎名はアドバイスも忘れなかった。星華に対してもだ。
「そうすれば見つかっていくものだから」
「じゃあそうしていって」
「幸せはそこにあるから」
「前向きに。新しいものを見つけることが」
「これもありきたりな言葉だけれど」
椎名はまた前置きしてから。話したのだった。
「星の数程いるから」
「男の子はなのね」
「そう、星の数だけいるから」
その星空を実際に見上げながらの話だった。見上げながらだ。彼女はこうも言ってきた。
「それで」
「それで?」
「今どれだけのお星様がいるかわかる?」
「ええと」
咄嗟に言われてもだ。数えることすらだった。
「どれだけ?一体」
「そう。わからないね」
「わからないわよ、そんなの」
星華は困った顔で返す。
「どれだけあるか」
「そういうもの。恋もそう」
「星の数だけね」
「あるから。見つける」
それが星華への言葉だった。椎名は今も夜空を見上げている。
「それじゃあ」
「そうしたいけれど」
「まずはそうすること」
また告げる椎名だった。前を向いていってというのだった。
そんな話をしたのだった。プラネタリウムの中で。
そして全てが終わってから。星華は椎名に話した。
「あの」
「あの?」
「よかったらだけれど」
椎名の顔を見ながらだ。眉を少し顰めさせながらも意を決した顔でだ。彼女に話すのだった。
「今度ね」
「今度?」
「ここ。一緒に来てくれない?」
こう彼女に言うのだった。
「一緒にね。このプラネタリウムにね」
「一緒になの」
「そう、一緒にね」
また言う星華だった。
「来てくれるかな」
「うん」
椎名はそれを受けてだ。一言で返してきた。
「じゃあ今度」
「いいのね」
「天文部が断る筈がない」
これが椎名の返答だった。
「そういうこと」
「天文部だから」
「そう、天文部だから」
また言う椎名だった。
「だから断る筈ない」
「そういうことなのね」
「そう、じゃあ今度ね」
「日は何時にしようかしら」
「そっちの空いた時間でいいから」
「私の?」
「そう、合わせる」
意外なことを告げられ、まさか頷いてくれると思わなかったので少し驚いた顔になっている星華に対してだ。椎名は言うのだった。
「合わせるから」
「そうしてくれるの」
「だから時間が決まったら言ってきて」
星華に対して述べるのだった。
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