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空に星が輝く様に

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472部分:第三十七話 星座その二


第三十七話 星座その二

「ここは見る場所だからよ」
「そうよね。今度は」
 話をしているうちにだ。別の星座が出て来た。季節が変わったのである。
 夏になりだ。そこにあったのは。
 乙女座だった。それを見ながら椎名はまた星華に話した。
「あの星座は乙女座。それは」
「それは?」
「正義の神様。今は神話とかよりも」
「それよりも?」
「乙女」
 言うのはこのことだった。
「それを見よう」
「乙女をなの」
「そう。乙女は奇麗なものかっていうと」
「違うのね」
「その心に色々なものを持ってるもの」
 こう星華に話すのだった。
「いいものも嫌なものも」
「両方なの」
「人間誰でもそう」
 今話すことはだ。このことだった。
「両方持ってるの」
「乙女でもなのね」
「ギリシア神話だと神様もそう」
「そういえばギリシア神話って色々あるわよね」
 星華もギリシア神話についてはある程度知っていた。その知っている内容だけでもだ。彼女にしてもこれはと思うものも多いのだった。
「浮気とか。純愛とか」
「そう、色々あるもの」
「同じなのね、神様も」
「人間も同じ」
 そうだというのである。そしてそう話していってだ。
 また空が変わった。今度は。
「あれは」
「蠍座?」
「あれはオリオン座と縁がある」
 これもまた有名な話であった。
「オリオンは蠍を倒したから」
「刺されて死んだんじゃなかったかしら」
「そこは色々なお話があるから」
「そうだったの」
「ギリシア神話は登場人物の死に方も色々」
 この辺りが複雑である。話によってその出生が違っている登場人物もいたりする。もっと言えばその血縁は検証するとかなり混乱しているものだ。
「倒した話もある」
「そんなお話もあったの」
「そう。それで」
「それで?」
「その中の一つ」
 椎名は話していく。
「オリオーンが何故お空にあるのか」
「そのお話なのね」
「愛故になの」
 それでだというのである。椎名は星華に話していく。
「月の女神アルテミスと愛し合っていたけれど」
「一緒になれなかったの」
「アルテミスにはお兄さんがいた」
 これも話によっては弟になっていたりする。やはり複雑であった。
「太陽の神アポロン」
「あっ、その神様は知ってるわ」
 それはだ。星華もだった。それでついつい声をあげた。
「格好いい神様よね」
「そう。その神様が」
「どうしたの?」
「オリオーンと妹の仲に嫉妬して」
「お話が何処かのドラマになってきたわね」
「実際にそんな感じ」
 この人間的、悪く言えば人間臭さがギリシア神話である。神にしてもその行動が実に人間的、いや人間のそれそのものなのである。
「まさにそれ」
「それで嫉妬してなの」
「策略を使ってアルテミスに誤ってオリオーンを殺させた」
「何よそれ」
 その話を聞いてだ。星華はすぐに顔を顰めさせた。暗い中だがその顔が変わったことは椎名も横目で見た。
 
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