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繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ

作者:エギナ
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06.そうだ、刑務所に逝こう。
  第9回

 
前書き
琴葉視点 

 
「てか、フラン! 何勝手に俺の妹襲ってんだよ!!」
「此れも全て、訓練の一環だよ? 君が抗議できる件ではない」
「だからって、俺の大切な妹を良くもぉおおおおお!!」
「否々々、君より私の方が、数百倍琴葉君を大切にしているし、愛している」
「テメェが何を言おうと、琴葉は俺の妹だ!」
「君が何を言おうと、琴葉君は私のモノだ」
「テメェみてぇな変態野郎に渡して溜まるか!!」
「君みたいな最低な屑に預けて溜まるか」
「兎に角、琴葉は俺のモノだ!!」
「兎に角、琴葉君は私のモノだよ」
「テメェには絶対渡さねぇ!!」
「君には絶対渡さない!!」

「もう何でも良いから、さっさと持ち場について。煩いよ」

「「後で覚悟しとけよ」」
「ハイハイ………」


  ◇ ◆ ◇


 さて、そろそろ来る筈さ。読み通りだと、正面から――――

「………琴葉ッ、上だ!!」

 葉月の声で、反射的に上を向く。其処には、弾丸の様に落下してくる、百の軍の構成員。
 咄嗟に、戦闘員達に身体強化の能力を掛け、後ろに大きく跳ぶ様に指示を出す。私は海水を別空間に入れ、それを空間から出しつつ操り、盾の様な形にする。
「やぁッ!!」そして、それを上手い具合に、構成員が盾に衝突する瞬間を狙って、盾を突き出す。強化された盾は、構成員を弾き飛ばす。

「全員、攻撃ッ!!」

 この刑務所中に響き渡る様な轟音が起こる。煙が立ち、視界が一瞬悪くなる。が、それは可笑しな程のスピードで、葉月が短剣を振ったことにより掻き消される。

「せあッ!!」美しい薔薇の彫刻が施された細剣を振って戦う聖月。その姿はかなりサマになっている。能力があれば、このまま別世界まで誘拐していたかもしれない。
 と言うか、それぞれの看守は、それぞれの武器を持って居る。かなりそれを使い熟していて、黑猫で再度訓練し直せば、直ぐに戦場に出て戦うことが出来そうだ。真逆とは思うが、何度か実戦経験があるのだろうか……刑務所、恐ろしや。

「わあっ!?」人混みの向こうから一つの悲鳴。直ぐに相手を為ていた構成員を、短剣で滅多刺しにし、修復不可能なまでに体を切り刻む。そして、悲鳴の聞こえた方へ向かう。
 随分と私も甘くなったなぁと思いながら走ると、其処には二つ縛りの女看守が、構成員に殺されかけている。後数秒で殺されるーと言うところだ。

「せいやっ!」刀が振り下ろされるところを、タイミングを合わせて短剣で弾く。相手が大きく仰け反った所で、一発鳩尾の部分に蹴りを入れる。

「………っか、カッコイイ! 琴葉さん、カッコイイです!!」
「は?」
「一発で倒しちゃうなんて! その強さ、憧れます!!」

 今、一気に体に力が抜けた。地面に座り込み、のわぁぁああと呻きながら、頭を押さえる。何だこの看守、天然か。

「琴葉君!」何故か、後衛に居る筈のフランさんがやって来る。「予想以上に、敵の数の減少が早い。少し妙だよ」
「でも、この辺りには今相手をしている敵以外、気配は感じませんよ?」
「もっと探すんだ。相手は姿が見えないかもしれない。気配を消しているかもしれない」

 また無茶な事を。こっちだって戦っているんだ。それに、周りの指示も為なければいけないし。

「出来ないって言うのなら、帰ったらまたシよっか」
「全力でやらせて頂きます」
「何を?」
「敵の殲滅です!!」

 全く、何だ此奴は。最悪だな、もう。昨夜は疲れているのに、結局接吻(キス)されて、吸血されて、一度何時もの世界に戻って、フランさんの部屋で―――とか、最悪。
 抱き付いて脳殺して終了って流れで終わらせようとしたのに!
 帰ったら絶対何処かの部屋で監禁して、三日間何も出来なくしてやる。身動きが取れないところに、採りたての血でもチラつかせてやる。

 で、敵は居るか?
 姿の見えない、透明化の能力でも持った構成員は。気配を消した、高い潜伏能力でも持った構成員は。

 影に潜む能力を持つ構成員は。

「ひッ……!!」自分の持ち場へ戻る時に、聖月さんの短い悲鳴が聞こえた。矢張りか。聖月さんの影から、黒い大きな鎌を持った構成員の姿が生成されている。
 直ぐに鎌を奪い取り、それで構成員の首を切断する。

「昨日の威勢は如何為たの? 本当に同一人物かぁ?」
「いっ、今のは……その、驚いただけです!」
「へぇ?」
「ほ、本当ですからね!?」

 あ、聖月さんって「いじられキャラ」ってヤツでは無いですか。黑猫で言う、レンのポジション。私的には可愛くて良いと思う。

 そろそろ、私も本気で殺りますか。

 外套を聖月さんに預け、私は銃を二丁構える。短剣はポケットの中だ。
 それを見た葉月が、戦闘員達に後衛に下がるよう指示を出す。数秒後には、私を除いた全員の戦闘員が後衛に下がっていた。


「さぁ、死にてぇ奴から掛かってきな!!」

 
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