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オズのガラスの猫

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第十幕その四

「本当にね」
「ダマの実がここにあることは」
「あの実はあそこから出ることはね」
「ないんですね」
「ええ、これまでなかったわ」
「そうだったんですね」
「姿が見えない生きものはあそこから出られないの」
 このこともお話するオズマでした。
「本来はね」
「そうなんですか」
「ええ、だって姿が見えないと獲物を自由に襲えるけれど」
「それでも何かと不便ですよね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「本来はね」
「あの国だけにいて」
「他のところには出ないけれど」
 そこにいる鳥もというのです。
「その筈だけれど」
「鳥ならですか」
「お空を飛べてね、ただあの国にいる鳥達は」
 腕を組んで真剣に考えつつ言うオズマでした。
「あの国を出られる種類はいない筈だから」
「若しかーーして」
 ここでチクタクが自分の考えを言いました。
「渡り鳥がーー偶然ーー入って」
「あの国に」
「はいーーオークーーかもーー知れまーーせん」
 オズの国にいるとても不思議な長い距離をあっという間に飛べる鳥です。
「白鳥かもーー知れませんーーが」
「私白鳥です」
 声の一つが言ってきました。
「南の方に遊びに行って」
「そうしてなの」
「ふと立ち寄った場所で実を食べました」
「それよ」
 まさにとです、ガラスの猫が白鳥の声に言いました。
「そうしたらよね」
「はい、気付いたらです」
「姿が見えなくなっていたのね」
「驚きました」
 自分でもというのです。
「それで何かと思っていたら」
「ダマの実もなって」
「それを食べた森の住人達がです」
「姿が見えなくなっていたのね」
「そうなっていました」
「そういうことね、皆の言った通りね」
 その考え通りとです、ガラスの猫は頷いて述べました。
「まさに」
「そうね、正解だったわね」 
 つぎはぎ娘も言います。
「知らない国で知らないものを食べたら駄目ね」
「全く以てそうよね」
「あたし達は食べないからしないけれど」
「食べる人達は要注意ね」
「全くよね」
「このことは法律でちゃんと定めておくわ」
 オズマもこう言いました。
「こうしたことが二度と起こらない様に」
「オズの国の法律になのね」
「ええ、ちゃんと定めておくわ」
「そうするのね」
「ええ、それでね」
 さらに言うオズマでした。
「今は姿が見えなくなった皆を何とかしないと」
「さもないとね」
「ええ、この森もあの国みたいになるから」
「ちゃんとするのね」
「そうよ、皆これを飲んで」
 オズマはここでも懐からあるものを出しました、見ればそれは小さなピンク色のカプセルのお薬でした。
「姿が見える様になるお薬よ」
「そのお薬を見ればですか」
「姿が見える様になるんですね」
「そうなるんですね」
「すぐにね、だから皆一粒ずつ飲んで」
 こう言ってお皿も出してそのうえにお薬を置くとです。 
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