レーヴァティン
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第六十七話 宗教都市その六
「死線彷徨ったのよね」
「あの人身体弱いからな」
久志もこう返す。
「だからな」
「危うくだったのよね」
「風邪どころか肺炎こじらせてな」
「肺膿になって」
「本当に洒落になってなかったんだよ」
「その病気になるわよ」
ファンタジーの恰好で寒い場所にいればというのだ。
「あんな露出の高い恰好でね」
「だから二人共厚着なんだな」
「そうよ、この通りね」
特に足を見せて言う留奈だった、見ればズボンとブーツでしっかりと覆われている。
「この下にタイツ穿いててショーツもしっかりとだから」
「完全武装なんだな」
「靴下も履いてるし」
これもというのだ。
「本当に完全装備よ」
「冷え性対策でか」
「身体を冷やしたら駄目だから」
留奈もこう言うのだった。
「くれぐれもね」
「それが現実なんだな」
「そうよ、ファンタジーの世界って大抵寒いじゃない」
欧州をモデルとした世界観ならそうなる、何しろパリにしても緯度では日本の宗谷岬より北にあるのだ。
「それでビキニアーマーとか水着みたいなハイレグワンピースとかね」
「見えそうなミニスカもか」
「ないから。半ズボンだって」
ファンタジー的には露出の少ないこちらもというのだ。
「胸や肩丸出しもね」
「ないんだな」
「そんな恰好本当に風邪ひくから」
今度は肺膿とは言わなかった、かなりトーンを抑えて言うことにしたのだ。
「だからね」
「こっちの島でもないんだな」
「危ないしね」
露出が多いとだ。
「服は身体を守ってもくれるし」
「余計にだな」
「そうよ、戦っていてあんな恰好だと」
露出の多い服装、それはというのだ。
「大怪我しやすいわよ」
「肌が出ている部分がか」
「普通に旅をしていても肌が出ている部分は」
それこそというのだ。
「怪我しやすいから」
「それで二人共露出少ない服か」
「そうよ、それにね」
さらに話した留奈だった。
「この世界の女の人全員がでしょ」
「ああ、厳重な服装だな」
久志はあえてこう言ってみせた。
「鎧みたいな」
「戦うなら余計にでしょ」
「しっかりした鎧付けてな」
「こっちの世界女の人も戦場に多いけれど」
女騎士や女戦士がだ、魔術師や僧侶の者も多い。
「そうでしょ」
「ああ、どの人もな」
「男の人と殆ど同じ身なりでね」
「厳重だな」
「それは寒さと安全の為よ」
この二つのことを考慮してというのだ。
「だからね」
「厳重ってことだな」
「そうよ、それが現実よ」
「現実は時として残酷だな」
「露出多い娘はビーチとかプールで観ることね」
そうした場所でとだ、留奈はジョークも交えて話した。
「いいわね」
「ああ、それじゃあな」
「そういうことでよ」
「露出は期待するな、か」
「そう、実際の異世界ではね」
「人は寒さに勝てないか」
「特に女の子はね」
男よりもというのだ。
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