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ウィンターシャワー

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第一章

               ウィンターシャワー
 ニスタはある組織に拉致され身体に寄生虫を埋め込まれたが為に常に破壊衝動に捉われた残虐なバーサーカーとなった。
 常に好戦的かつ粗暴で戦いともなれば文字通り敵味方誰彼なく攻撃する為戦場では悪魔の様に恐れられていた。
 これが彼に寄生虫を埋め込んだ組織の狙いだったがこれがこの組織の命取りになった。
 当然ながらニスタは組織を憎み組織に挑んだ、そうして組織に関わる者を一人残らず殺し完全に壊滅させた。
 だが組織が終わってもニスタの中に寄生虫は残っていて彼が残虐で粗暴なバーサーカーのままだった、その為彼は常に一人だった。
 その彼はある日こんな話を聞いた。
「どんな病気でもかよ」
「ああ、治してくれるな」
 酒場でマスターがカウンターに座りバーボンを飲んでいる彼に話した。
「そんな医者がいるらしいな」
「そうか、それじゃあな」
「あんたのその寄生虫もな」
「どうにかしてくれるか」
「正直困ってるだろ」
 マスターはニスタに問うた。
「虫のことは」
「困ってない様に見えるのかよ」
 これがニスタの返事だった。
「身体もこんな風になってな」
「そしてだよな」
「こんな性格になったんだ」
 それならというのだ。
「困っていない筈がないだろ」
「そうだよな」
「そうだ、それじゃあな」
「治してもらいたいよな」
「金がかかってもな」
 ニスタは自分から金の話をした。
「それはあるからな」
「そうだよな、あんたこれまで戦ってきたからな」
「どれだけの化けもの倒してきた」
 寄生虫がもたらす圧倒的な力と回復力でだ、ニスタは寄生虫の力で不死身と言っていいまでの力を得ているのだ。
「それじゃあな」
「化けものを倒した報酬でな」
「腐る程持ってるさ」
 こうマスターに答えた。
「一生遊んで暮らせて屋敷まで建てられるな」
「組織もやっつけたしな」
 彼を今の様にした組織もだ。
「その軍資金も奪ったな」
「全部な、どれだけでもあるぜ」
「じゃあその金を少し持ってな」
 彼にとってはだ。
「その医者のところ行けよ」
「そうするな、それでその医者は何処にいるんだ」
「ああ、それはな」
 マスターはニスタに医者がいる場所を話した、その名前も。彼はそれを頼りに医者のところに赴いた。
 医者は首都の片隅にいた、小さな診療所にいる小柄な老人だった。老人はニスタを見るとすぐに言った。
「あの組織にやられたか」
「ちょっと見ただけでわかったのかよ」
「うむ、あの組織は滅んだというが」
「俺が一人残らずぶっ殺してやったさ」
 不敵な笑みでだ、ニスタは医者に答えた。
「この俺がな」
「復讐でか」
「ああ、組織のボスと俺に虫を入れた連中は八つ裂きにしてやった」
 文字通りにそうした。
「そうしたからな」
「だからか」
「ああ、組織はもうないさ。しかしな」
「御前さんの中にはな」
「この通りだよ」
 組織は滅んだがだ。
「寄生虫が生きていてな」
「まだ苦しめているな」
「俺をこんな身体にしてこんな性格にしているさ」
 今もというのだ。 
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