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空に星が輝く様に

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439部分:第三十四話 夜空にあるものその三


第三十四話 夜空にあるものその三

「信頼全然なくなったと思うけれど」
「もうその窃盗の奴以外から相手にされなくなったよ」
「学校全体でね」
 当然の結果であった。
「けれど全然平気だったな」
「信用なくしてるとも自覚してなかったみたい」
「それやる前に何かあったら他人のそう言ってたんだよ」
「すぐに謝罪しろってね。その相手に非がなくても」
「けれど自分は絶対に謝らなかったな」
「挙句に仕方なくやったとか自分のことばかり言ってたわ」
「そいつ、もう放っておいていいから」
 椎名の口調はまさにばっさりであった。
「中学校で信頼完全に失ったのね」
「高校でも同じ中学の奴結構いてな」
「それで向こうでも全然反省していないみたい」
「じゃあそいつ絶対に破滅するから」
 そうなるというのである。
「確実に」
「確実にかよ」
「破滅するの」
「うん、そうなる」
 まさにそうだというのであった。
「反省しないで馬鹿なこと続ける奴は絶対に破滅するから」
「信用なくしても平気な奴もか」
「そうなるのね」
「ならない筈がないから。もう放っておいたらそのうち闇金に手を出すか現実に大変なことしてそうして破滅していくから」
 椎名は冷徹な口調で述べていく。
「放っておいていい」
「最初はそんな奴じゃないって思ったけれどな」
「誠実だと思ったけれどね」
 狭山と津島は首を傾げさせながら言う。
「いざって時に出たな」
「その本性がね」
「ありゃもうどうしようもないな」
「最低最悪の馬鹿だったわね」
「人間の本質はここぞっていう時に出るものだから」
 椎名は今はまさに弓矢で的を射抜く、そんな感じであった。
「その人にとって勝負の時に」
「あいつはそこで本性を見せちまった」
「そういうことなのね」
「その通り。それでそうなった」
 信用を完全になくしたというのである。
「人はここぞって時にこそなの」
「出るんだな」
「何かそれって今よくわかるわ」
 狭山と津島は腕を組んで言う。だが陽太郎と月美はだ。
 椎名のその言葉を聞いてだ。深く考える顔になった。そうしてそのうえでお互いに顔を見合わせてこうした話をするのであった。
「じゃああの時は」
「そうですよね」
 二人で小声で話す。
「あいつは」
「その本質を」
「悪い奴じゃないんだよ」
 陽太郎の今の言葉は現在形だった。
「昔から。それはな」
「そうですね。私もそれは」
 月美もだ。感じたのだった。
「そう思います」
「なあ。それで」
「それで?」
「ちょっと。またあいつと会っていいかな」
 こう月美に話すのだった。
「その。友達に」
「戻りたいんですね」
「駄目かな、それって」
 これがだ。陽太郎の今の考えだった。
「ああしたことがあったし」
「いえ、それは」
 月美もだ。考える顔で返した。
「よく考えて。それで」
「そうするか」
「はい、陽太郎君が思われるなら」
 彼の決断だというのである。
 
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