空に星が輝く様に
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43部分:第四話 桜の木の下でその六
第四話 桜の木の下でその六
「ねえ」
「あいつよね」
「西堀だったわよね」
「何かいけ好かないね」
「そうよね」
四人で言い合うのだった。
「深窓の令嬢ぶっててね」
「何か嫌な感じ」
「全く」
「胸もやけに大きいし」
月美のその胸も見る。そしてその他も見るのだった。
「顔も何よ」
「顔まで奇麗な感じよね」
「全く」
三人が忌々しげに言う。星華も如何にも嫌そうな顔をしている。そのうえでのやり取りだった。
「あとね話聞いたけれどね」
「どうしたの?智っち」
「何の話聞いたの?」
橋口の今の言葉に州脇と野上が問う。
「あのね、あいつね」
「ああ、西堀の奴ね」
「あいつまだ何かあるの」
「お家凄いお金持ちなんだって」
このことも話されるのだった。
「八条グループの企業の一つの重役さんの娘なんだって」
「えっ、八条グループっていったら」
「この学校もそうじゃない」
八条学園は八条グループが経営しているのである。その他にも様々な企業を経営している世界規模の大グループなのだ。
そのグループの重役の娘だというのだ。そのことも話に出たのである。
「そんなところの娘さんなの」
「何よ、それ」
「顔とか胸だけじゃないなんて」
「完全なお嬢様ってやつ?」
「気に入らないわね」
「全く」
こう口々に言う三人だった。
「そんな奴がいるなんてね」
「腹が立つわね」
「何なのよ」
とにかく月美への嫌悪を露わにする三人だった。
そしてだ。それは星華も同じだった。彼女はその感情に赴くまま悪意を漂わせた笑みで三人に対して言ってきたのであった。
「ねえ」
「どうしたの?星華ちゃん」
「何かあったの?」
「次ホームルームあるじゃない」
その笑みで言うのであった。
「次ね」
「うん、そうだけれど」
「何かあるの?それで」
「クラス委員決めるじゃない」
星華の笑みにある悪意がさらに出て来ていた。
「その時にだけれど」
「ああ、わかったわ」
「そういうことね」
「成程ね」
三人も彼女と同じ笑みになって話す。
「あいつに押し付けるのね」
「いいじゃない、それって」
「やろうやろう」
「ああいう奴は痛い目見ればいいのよ」
星華は自分では気付いていなかった。今自分がどういった顔になっているのかを。そして気付かないまま言うのであった。
「もうそれでね」
「よし、やろう」
「それでね」
「あいつに押し付けてやろうよ」
これで四人のやることは決まった。そしてホームルームがはじまり先生の紹介が終わりクラス委員の話になるとだ。すぐに星華が手をあげてきた。
「先生」
「ええと、佐藤だったか?」
「はい」
「そうか、御前がやってくれるのか」
「いえ、違います」
それは笑って否定するのだった。
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