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繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ

作者:エギナ
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06.そうだ、刑務所に逝こう。
  第2回

 
前書き
琴葉さん視点でぃす。 

 
 所々が痛む躰を起こしてみると、其処は見た事も無い場所。
 下にはコンクリートの地面が、周りには海が広がっている。

「って、私も巻き込まれたし」

 執務室に逃げ込んで、直に外套を羽織り、帽子を被り、手袋を嵌めて、窓から跳び出そうとして居たら、急に視界が暗くなり、此処に居たと言う訳だ。 
 というか、本当に此処は何処だ。

「って、あれ。誰か居る……彼奴誰だ?」
「私に聞いても分かる訳無いじゃん」
「もしかして、ヤバイ奴じゃない!?」
「取り敢えず、聖月に任せるか?」
「でも来ねぇじゃん?」
「その間に襲ってきたら?」
「そんな時はこの僕にお任せあれ!! だよ?」

 うん、どうしよう。私不審者じゃん。何故私がこんな目に。
 やって来たのは、恐らくこの、多分刑務所の囚人七人。如何やら、吸血鬼も混じっていそうな感じがする。四人ほど。

「あ、おまえらぁああ!!」
「あれ、聖月じゃん!!」
「ナイスタイミング!」
「えー? 僕の活躍は~?」
「夢ちゃんと大ちゃんも一緒だー!!」

 その奥から看守らしき人が三人やって来る。これで囚人と看守合わせ、計十名。

「で、どうした?」男看守が不機嫌そうな顔で問う。まぁ、囚人が脱獄して居るであろう状況なのだから。
「いや、見れば分かるだろ」黒髪の囚人が言う。これまた不機嫌そうな顔で。
「えぇ? ……って、あ」髪を高い位置で二つに束ねた女看守が言う。この人もまた不機嫌そうな顔で。
「貴女、誰?」栗色の髪が綺麗な女看守が言う。リーダー格な雰囲気が滲み出ているのだが。

「黒華琴葉」
 誰? と聞かれたら名前を答えておけば済むだろう。

「貴女は人間?」
「人間」
 質問は続く。

「貴女、何処から来たの」
「上司の友人に因って此処に来た。元居た場所は良く覚えていない」
 そう言えば、黑猫の拠点って何処にあるんだ。古株の自分でも分からない。

「怪しいわね……その上司と、ご友人って?」
 数秒迷った後、朝の仕返しだからと割り切って話す。「上司がフラン・レミナス。友人はノア・スカーレットって言ってたかな………」
「え、アンタ、フランさんとノアさん知ってんのか!!?」
 黒髪の囚人が目を丸くして問う。………そう言えば、レンに似ている気がする。

「知ってると言っても、ノアさんと出会ったのは今日の朝、此処に来る前に一度だけ。フランさんとは、何年間も一緒に居る」
 朝の事件の事は、後で記憶から抹消しておく。

「で、その二人を知ってるって事は、君は吸血鬼だね?」
「吸血鬼の存在まで知っているのね………怪しいけど、ノアさんの友人ならどうしようも無いわ。嘘をついていなければだけど」
 否、待て待て待て。何時から友人になった。服を整えていたら、いきなり背後から襲ってくるような危険な奴と。何時から友人になった。

「ねぇ、琴葉さんは人間って言ってたよね? なのに、どうして吸血鬼の事知ってるの?」
「………仕事柄って言えば良い?」
「何の仕事?」
「…………如何説明すれば良いのか分からない」
「役職は?」
「幹部。因みにフランさんは首領」
「じゃあ、何かの組織なんだね。そう言うこと、教えちゃって大丈夫なの?」
「大丈夫でしょ」
「何か言いたいことは?」
「え、何私殺されるの? 吸血鬼に殺されるの、嫌何だけど。抵抗して良い?」
「殺さないから大丈夫だよ。と言うか、よく分かったね。僕が吸血鬼だって」
「え? 逆に分からない理由が分からない」

 この白髪の囚人は、何処かノアさん似てるな。

「にしても、本当に何処から来たんだろうね」
「若しかすると、後三人居るかも知れない。…………恐らくノアさんと一緒だけど」
「へぇ。色々教えてくれてるけど、本当に大丈夫?」
「全て仕返しだから」
「血は美味しそうなのに、何か持った無い気がする。けど、躾甲斐がありそう」
「否、もうそう言うのいいです。もう散々なんで」
「え、どうしたの? 若しかして、此処に来る前に何かあった?」
「特には無かったけど」

「へぇ。アレは、君にとっては『何も無い』何だぁ」

 この声は、若しかしなくても――――

「フラン、さん……!?」
「やぁ。私の琴葉」

「「「「え?」」」」

 白髪のさっきの囚人と、黒髪のレンに似ている囚人と、朱色の髪のチャラチャラしていそうな囚人と、暗い緑色の髪の襟足を少し伸ばした囚人が、揃って声を溢す。この四人の囚人が吸血鬼か。

「誰がフランさんの物になったんですか!!」
「琴葉だけど?」
「だから、何度も言ってますけど、私は誰の物でも無いです!!」
「否々。琴葉は私のモノ。私だけのモノだよ?」
「もう病んでるじゃないですか」
「それだけ琴葉を愛しているんだ」
「私は一切想っていないので」
「そんな事言ってると、またお仕置き、だよ?」
「嫌です嫌です嫌です嫌です嫌です嫌です止めて下さい本当にすいませんでした私が悪かったです」

 もう私、どれだけ喋れば良いのだろうか。かなり喋ったよね。

「……一応聞きますけど、何で来たんですか」
「琴葉に会いに♡」
「嘘ですよね? 嘘だって言ってください」
「と、一寸拙いことが起こったらしくてね」
「…………如何為たんですか?」
「後で伝える」

「あの、全然話に着いていけないのですが………」
「聖月。取り敢えず、自分の身は自分で守れ」
「どう言う事? レン」

 おっとー、レンに似ていると思ったら同姓同名かもしれない。

「あの、空いている部屋って在りますか?」
「あ、幾つかあるわ」
「じゃあ、一部屋借りますね」
「えっ!? あ、ちょっ………」

 囚人達の間をスルリと抜け、廊下へ滑り込む。
 中は刑務所の様な感じではなく、白を基調とした壁で作られている。ひび割れている所も無く、綺麗に整備されていた。

「あ、琴葉君。此処で良いかな?」
「うわっ」

 そして、横を走るフランさんに引っ張られ、空き部屋に連れ込まれた。

 
 

 
後書き
段々と刑務所キャラの口調が迷子に………
覚えている人が居たら、各キャラの設定などを含めて教えて下さいぃいい…………
少し変わっていても大丈夫なので………… 
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