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空に星が輝く様に

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425部分:第三十二話 誠意その八


第三十二話 誠意その八

「それでいたの」
「何よ、そうだったの」
「それで今ここにいるの」
「そうだったの」
「そう。ところで」
 椎名はだ。三人が狼狽しているのを見てだ。自分から言ってきた。これで会話の主導権は彼女が握ることになったのであった。
 だがそれを相手に気付かせないようにしてまた話すのだった。
「どうしてここにいるの」
「そ、それは」
「あんたに関係ないでしょ」
「そうよ」
「道場に行くなら案内する」
 三人のうろたえる言葉をよそに告げる。
「どう、それで」
「あんた何考えてるのよ」
「一体」
「案内するって」
「話は後」
 あえて多くは言わないのだった。ここでは。
「とにかく道場に行きたいのね」
「はい、そうです」
 星子が答えた。
「それで今から行くんですけれど」
「そう。じゃあこっち」
 星子の手は掴んでいないがそれでも引っ張る言葉だった。
「こっちに来ればいいから」
「あっ、すいません」
「ちょっと、何であんたが案内するのよ」
「そうよ。道場の場所位私達で案内できるわよ」
「それでどうしてしゃしゃり出て来るのよ」
「それからのこと」
 文句を言う三人にぴしゃりと返す椎名だった。
「それからのこともあるから」
「それからって」
「まさかあんた」
「気付いてるとか」
「行こう」
 椎名はここでもあえて多くは言わない。そしてであった。
 すぐに踵を返してだ。星華も含めて五人に背中から告げた。
「今から」
「道場によね」
「そこに」
「それで」
「したいことをすればいい」
 椎名はこう五人に告げた。
「今したいことを」
「したいことってあんた」
「まさかと思うけれど」
「ひょっとして」
「行く」
 また言う椎名だった。多くを言わない。
「そっちが行きたいのなら」
「お姉、いいよね」
 星子は隣にいる姉に声をかけた。その顔は気遣うものだった。
「それで」
「う、うん」
 星華は星子のその言葉に頷いた。そしてであった。
「行こう」
「それじゃあね」
 星子はその星華の言葉に応えてだった。そうしてそのうえで彼女を護るようにして椎名の後についていく。三人も一緒である。
 そしてだった。三人もだ。星華に声をかけるのだった。
「安心してね」
「一人じゃないからね」
「星華ちゃんだけじゃないから」
 こう声をかけるのだった。三人も星華を護るようにして進むのだった。
 そして陽太郎はだ。月美と共にいた。部活が終わりもう制服に着替えている。
 場所は道場の前だ。そこで楽しく話をしていた。
「それじゃあさ」
「はい、帰り道でまた」
「デートしようか」
「そうですね」 
 こう話してそれで帰りのデートに向かおうとする。その時だった。
 月美はだ。陽太郎にこんな提案をしてきた。
「それで帰り道ですけれど」
「帰り道に?」
「何処に行きます?本屋にしますか?」
「本屋。いいよな、それって」
「何の本にしますか?」
「川端康成にしようかな」
 陽太郎は腕を組んで考える顔になって述べた。
「雪国でも読もうかな」
「雪国ですか」
「月美は川端読んだことあるかな」
「はい、あります」
 月美は静かに微笑んで陽太郎に答えた。
 
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