空に星が輝く様に
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424部分:第三十二話 誠意その七
第三十二話 誠意その七
「その時が来るとな」
「そうした時がなのですか」
「そうだ。それは今日かも知れないし一年後かも知れない」
「時間はわからないんですね」
「しかし来る時は来る」
先生の言葉はここではしっかりとしたものだった。
「それはわかっておくんだな」
「わかりました。それじゃあ」
「そういうことでな。いいな」
「はい」
そんな話をした部活の休憩時間だった。彼は部活を楽しく過ごした。
そして部活の後でだった。また月美と待ち合わせるのだった。その時まで彼は普通の時間を過ごせると思っていた。恋愛の時間をだ。
だが、だった。その時だった。部活帰りの椎名がだった。
下校しようとするところで。彼女達を見つけたのだった。
「あれは」
「何処におられるんですか、それで」
「多分だけれど」
「こっちよ」
「こっちにいるわ」
三人が星子に話していた。椎名はそれを見たのだ。
「剣道部だからね」
「道場はここだから」
「そっちにいるわ」
「そうですか。先輩高校でも剣道部なんですね」
ここでだった。星子はそれを聞いて頷いて言った。
「そうなんですね」
「斉宮って前から剣道部だったの」
「そうだったんだ」
「中学校の時から」
「小学校の時からなんです」
しかし星子によるとそれより前であった。
「その時からなんです」
「そうだったんだ」
「そういえば二段っていうし」
「それだけ年季があるんだ」
三人はここでも陽太郎のことをあらためて知ることになった。
「星華ちゃんそのことは話してくれなかったわよね」
「そうよね。斉宮の細かいことは」
「そうした話はね」
「お姉ってそういうことは話さないんです」
星子がまた三人に話す。
「ですから」
「そうだったのね」
「何か私達って星華ちゃんのこと知ってるようで」
「あまり知らなかったのね」
三人は今度は星華を見る。彼女は一言も発しない。ただ四人の後ろに俯いてそうしてついてきているだけである。それが今の彼女だった。
その彼女を見ながらだ。三人は話すのだった。
「その人を知っているようで知らないのね」
「そういうものなんだ」
「知っているように思っても」
「私もですね、それは」
星子は三人の話を聞いて自分もだと述べた。
「お姉のこと。わかっているようで」
「本当はわかっていなかった」
「知らなかった」
「肝心なところも」
「はい。それでお姉」
星子は暗い顔になっていたがそれでも姉に声をかけた。
「いい?今からね」
「ええ」
暗い顔で俯いているがそれでも頷く星華だった。
「わかってるわ」
「それじゃあね」
「斉宮のところにね」
「それで。終わらせよう」
姉の心のわだかまりを消す為の言葉である。
「もうね」
「うん、じゃあ」
五人で向かおうとする。しかしだった。
その彼女達の前にだ。椎名が来て言うのだった。
「な、何よあんた」
「いきなり出て来て」
「どうしてここにいるのよ」
「部活」
それでだとだ。急に出て来たことに狼狽する三人への言葉だった。
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