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繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ

作者:エギナ
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06.そうだ、刑務所に逝こう。
  第1回

 
前書き
部の字が違う?
合ってますよ(黒笑)

リクエスト第一弾‼
【とある黒猫達の復讐劇×ようこそ最悪の刑務所へ】
現在書いているオリジナル作品×過去に書いていたオリジナル作品です。 

 
 小鳥の囀りが良く聞こえる、静かな朝のことだった。

「フランさぁあああん!!?」
 廊下を全速力で走り、首領室の扉をドガン!と変な音を立てて開けたのは琴葉。

「ななななななんで葉月が居るのさ!!」
 そして、首領の前に居る人達に向けて、一瞬で指を指したのも琴葉。

「フランさぁあああん!! 『刑務所に逝ってきてね♡』って、如何言うことですか!! 刑務所!? 捕まるの!? 何で『逝く』!!? 『行く』じゃないの!!? フランさぁあああん!!!」

 そして、朝から元気に狂っているのも、琴葉だった。

「嗚呼、おはよう。琴葉君。朝から元気に狂ってるねぇ!」
「ブフッ………」
 フランの言葉を聞き、葉月は口元を抑え、そっぽを向きながら大爆笑している。琴葉もそれに気付くが、首領室で乱闘を起こすほど、琴葉も馬鹿では無い。
 後で覚えておけよ、と口パクで葉月に伝えた琴葉は、フランに向き直る。

「で、一体如何為たんですか。葉月なんて呼んで」
「なーにーかー! わーすーれてーなーいかーなー!!」
「…………フランさんの所為で話が進まない。何も忘れてないし。でもまぁ、フランさんだし仕方ないか…………フランさん、葉月にぃを呼んで、如何為たんですか。敵幹部を首領室に呼ぶなんて、私、如何成っても知りませんからね? 実際、二度葉月にぃに殺されてる訳ですし」
「それ、絶対他の人に言っちゃ駄目だからね?」
「分かりました。では今直ぐに全ての構成員に伝えてきます」
「ねぇ待って話聞いてた!!?」
「え? フランさん、何か話してましたっけ?」
「『分かりました』って言ったよね!? …………って、琴葉君行かないで!!」

 ―――――何で琴葉は自分所の首領で遊んでんだろ。
 葉月は横目でフランと琴葉の遣り取りを見ながら、そう思っているしか無かった。

「分かった、教えるから!! ………この後、葉月君の他にも、時雨君と白凪君が来るのは先に伝えておくよ。実はね、私の友人が刑務所で、看守長をやっているんだ。で、白猫の首領殿が『看守達を見て技を習ってこい』って目的で、行くことになったんだよ。けど、その刑務所が空間を超えた先にあるから、私の能力が無いと行けないんだよ。で、此処に呼んだと言うことさ!!」
「私が行く必要あります?」
「万が一戻れなくなった時は君に全部任せるから!!」
「構成員のみーなさーん!!」
「わぁぁぁああああ!! ストップストップ!! 琴葉君、ごめん! 違うから!! 本当は、葉月君が居るから取り敢えず着いて行って貰おうとしただけ………」
「構成員の皆さん!! フランさんはぁああああ!!」
「琴葉君んん!!?」

 丁度そのタイミングで、紗耶香と凛が首領室に到着した。が、琴葉達が気付くわけも無く、琴葉とフランの争いは続く―――

「………もう、悪い子には御仕置き、だよ?」
「ハイ………? ひゃっ」
「あ、おいフラン!!」
 と思われたが、急にフランは琴葉の背後に回り、後ろから抱き締める。それに反応して、葉月が驚いた表情を浮かべ、硬直する。

「っちょ、フランさん!! 巫山戯るのも好い加減に………ひっ! くすぐった………」
「うふふふ………お兄ちゃんの目の前で、大人の御仕置きを受けてみるかい?」
「いやっ、嘘ですよね…………やっ、ぁ…………ふ、フランさん!!」

 そして、段々とエスカレートしていくフラン流、対琴葉用の御仕置き。終いにはフランが琴葉を押し倒し、服を捲り始める。石像のように動かなくなった葉月の前で。

「ちょ、やめっ………やめてください、フランさん!!」
「駄ぁ目♡ 可愛いよ、琴葉」
「駄目ですっ………わぁぁああああ!? な、何でボタン外すんですっ!? ちょ、フランさぁあああん!!」
「ふふふ……愛してるよ、私の琴葉」
「い、何時フランさんの物になったんですかっ!? というか、私は誰の物でもあり………ひゃぁ!?」
「耳、弱いんだぁ」
「いや、そんな事な……ンン!」
「嗚呼、駄目だよ。声、我慢しないで? 良く聞かせてくれよ」
「絶対嫌です!! 誰か助けっ………~~~~!!」
「だから、声を我慢しないで? あ、ホラ。これで口閉じられないでしょ」
「ど、どうひてゆいいれへうんれすか!!(如何為て指入れてるんですか!!) ………ふあ、ぁ」
「ふふふふふ……このまま、最後までする?」
「や、やめへくあさい!!(止めて下さい!!)」
「やだよ。もう止められない」
「とめへくらさい!!(止めて下さい!!)」

 段々と御仕置きから方向がズレていくフラン。漸く葉月は状況に頭が追いついたようで、直ぐに部屋から出る。如何やら、紗耶香と凛の気配に気付き、頼ろうとしているらしい。が、その所為で二人きりとなった琴葉とフランは、揃って笑みを浮かべる―――――と言っても、琴葉は恐怖、フランは喜びを表す笑みだが。

「へ、へんなところさあらないれくらさいよ!!(変なところ触らないで下さいよ!!)」
「大丈夫だよ。琴葉に変なところ何て無いから」
「なんれすか! そえ!!(何ですか! それ!!)」
「ふふ。顔、真っ赤だね。美味しそうな涙も溜めて。……すっごいそそる」
「やぁっ!? フランさん!!」

 と、そこで扉がバァン!と音を立てて開く。其処からなだれ込むように入ってきたのは、葉月、紗耶香、凛、涙、宙だった。

「え、あ、ちょっ!? 首領!!」
「こ、琴葉………!?」
「あ、れ? ……何かトンデモナイ事になってる………」
「…………」
「………もう一歩手前じゃねぇかよ!!」

 邪魔が入った事により、不機嫌そうな顔をするフラン。その下には、フランに目を隠され、身動きを取れないように、上手く腕を抑えられた琴葉が。

「如何する? 琴葉。色々人が来たけど、止める?」
「止めます!! 止めて下さい!!」
「やぁだね」

 葉月達がフランを取り抑えようと掛かったが、もう遅い。

「ヒッ………ン"ン」
「はぁ……全く、君はこうやって無いと、直ぐに声を我慢する………もっと聞かせてよ。琴葉の可愛い声」
「ひぁ………!」

 先程の葉月の様に、羞恥に因って石像のようになっている。

「………は、はなえてくらさい!!(離れて下さい!!) フランさん!!」
「無理。最初は一寸のつもりだったのだけど………琴葉が凄く可愛くて、止められなくなった」
「え………っあ」

 もう、俺達には無理です、と割り切った葉月達は、直ぐに扉の方を向く。
 すると、そのタイミングで二人の人間が首領室に入ってくる。

「首領、折笠です。先日の会議の資料を………お持ち、しま………し…………」
「首領、一条です。先日の任務の報告書を…………」

 響也と千尋だった。

「あー、資料なら机に置いておいてくれる? 今忙しいから、後で読む」
「いやいやいやいや!! 何やってるんですか!! 俺の琴葉です、返して下さい」
「いえ、僕達の琴葉です。独り占めは、いくら首領でも許しませんよ」
「だ、だから、わたしは誰の物でも無い………!!」

 石化を解いた葉月達と琴葉を含め、八人でフランを睨み付ける。
 と、フランは流石に諦めたようで、一つ溜息を吐いてから、琴葉の上から退く。

「あ、ぶな……かった…………」
「琴葉さん………大丈夫ですか?」
「否、もう駄目。死にそう」
「じゃあ、部屋まで運んであげようか?」
「いえ、大丈夫です!! ………ハァ」
「何で溜息を吐くの? 楽しかったじゃ無いか」
「一寸隣の部屋借りますね」
「二人きりで続きがしたいのかい?」
「服を整えてきます」

 そして、乱暴に扉を開け閉めし、隣室――――フランが寝室として使っている部屋に姿を消す琴葉。すると、急にフランがそわそわと挙動不審な動きを始める。

「如何為たんですか、首領」
「否、襲いに行こうかなぁと。あ、折笠君と一条君も行く?」
「「巻き込むな下さい」」

「うぁぁああああああああ!!?」

 隣室の扉の向こうから絶叫が聞こえてくる。
 全員が唾を飲み込みつつ、扉に近付き、その扉を開ける。
 其処には、何者かに押し倒される琴葉の姿。

「もう散々なんです!! ってか、誰ですか!!?」

「あ、ノア君じゃないか」
「あ、フラン」

「吸血鬼かぁぁああああああ!!」

 不運すぎる被害者、琴葉。

「フランを呼びに来たら、実に美味しそうな血の匂いがしたからね」
「嗚呼、確かに琴葉の血は美味しい。涙だけでも躰が痺れてくる程良い血を持った女性だよ」
「へぇ……じゃあ、一緒に来て貰おうかな」
「否、彼女は私のモノだ。君には渡さない」
「拒否権が在るとでも?」
「嗚呼。在るさ。琴葉は私のモノ。君には渡さない」

 傍観者達は呆れて部屋を出て行く。

「じゃあこうしよう。一週間交代だ」
「駄目だ。君の所に居ては、琴葉の血が不味くなる」
「そんな事は無い。それより、フランの所に居ると、彼女の血が無くなる」
「君じゃないから、そんな事はしないよ。琴葉は私が大切にする」
「否、僕が」
「否、私が」
「否、僕が」
「「琴葉はどっちが良い」」

 火花を散らしながら睨みあっていた吸血鬼二人が、期待した目で琴葉を見る。が。
「どちらも嫌です」
 琴葉はスッパリと言い切った。こんな二人と一緒に居るなんて、頭が可笑しくなる、と思ったからだ。

「では、失礼しました」
 そそくさと部屋から出て行こうとする琴葉だったが―――

「「逃がさないよ?」」




  ◇ ◆ ◇




「で、刑務所に行く件何だけど~」

 何故かテンションが高いフラン。葉月と紗耶香と凛は、涙と宙と共に逃げ込んだ、琴葉の執務室から呼び戻され、首領室に居た。

「この人が付き添いね」
「ノア・スカーレットだ。吸血鬼を統べる王を担っている」
「「何か凄い人来た」」

 自信満々の笑みを浮かべて自己紹介するノア。言葉のわりに、ふわりとした空気が、敵対心が無い事を表していた。

「で、あと琴葉君も連れて行って貰うんだけど……琴葉君居ないね」
「姐さんなら逃げましたよ」
「まぁ、別に私の能力に不可能は無いからね。大丈夫大丈夫」
 フランの黒い笑みを見ると、背筋が凍った様な感覚がするな、と考えつつ、葉月は背筋を伸ばす。

「で、先ず、空間を超えた向こうにその刑務所はあるから、『能力』の存在は無い。それと、時間が少しズレている。まぁ、それは気力で頑張り給え。向こうでは、最初だけノア君と共に居れば、後から自由に行動出来るようになるだろうから、自由行動になるまで少し待っていてね? 向こうに居る時間は一日だけ。それは白猫の首領殿と約束してるから、特別な事が無い限り、しっかり一日で帰ってきてね。まぁ、私は此方からずっと見守っているから、安心していいよ。まぁ、説明はそれくらい。自分とそっくりな人が向こうにもいるかもしれないけど、それはドッペルゲンガーじゃないから安心してね。三日で死ぬ事は恐らくないから!! 後、絶対に死なない事。それじゃあ行ってらっしゃい」

「「え?」」

 其処で、葉月達の思考は途切れた。

 
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