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執筆手記

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ネタバレ注意【SAOIF】ソードアート・オンライン・インテグラルファクター

 某月某日、いつも通りALOにログインしてホームのソファーで寛いでいると、ケットシーの少女が話し掛けて来た。


「クラディールさん。SAOIFって知ってます?」

「あぁ、知ってるぞ、絶賛プレイ中だしな」

「面白いですか?」

「課金ゲーだし、バーチャルリアリティでもないし、正直微妙」


 俺の明け透けな感想にシリカは固まってしまった。


「――――でも、面白いから続けてるんですよね?」

「いや、ソードスキルの再限度とか確認する為にやってる所あるし、人に勧めたいと言うより、プレイするなら自己責任。だな」


 きっとシリカは、『凄く面白いゲームだぞ』とか『一緒にプレイするか?』みたいな展開を求めてたんだろうが、

 正直な話、MMORPGは自分のやる気と他人のやる気は別物だと言う事を実感させられる。

 お互いリアルを優先させる為、一緒に遊ぶ時間は細かい連絡を取り合って数時間できれば良い方で、

 最悪は数日から数週間も一緒に遊べない日が続き、そのまま自然消滅と言うのが大半だ。

 ゲーム内でそんなスケジュール調整をする暇があるなら、リアルで恋人を作ったり恋人関係を維持する労力に回せと言いたい。


「何ですか、どうして危ない薬をやるなら自己責任みたいな言い方をするんですか?」

「実際危ない劇薬だしな、課金ゲーはリアルの時間も取られるし、どハマりして学校に行かなくなったり、貯金を丸ごと使い切ったり」

「ゲームをする時間は決めてるので、そんな事にはなりません!」

「そうか? 睡眠時間を削ったりして学校に行くのが面倒臭くなって、朝からゲーム、今日から毎日が日曜日なんて奴は山ほど居るぞ?」

「駄目な人と一緒にしないでください! 何でその人達は怒られないんですか!!」

「怒ってくれる人間が居ないんだよ、一人暮らしを始めたとか、

 親に寄生して部屋に引篭もって内弁慶、何人たりともゲームの邪魔はさせない!! 覚悟完了!! ってな」

「完全に駄目人間じゃないですか!! そんな覚悟ゴミ箱に捨てて下さい!」


 何時ものやり取りを一通りこなした所で本題に移るとしよう。


「――――まぁ、やるなら自己責任だ」

「……アプリダウンロードは終わってますから手順を教えて下さい」

「それじゃぁ、ゲームをはじめよう」

「はい」

「まずはアバター製作からだな、覚えてるか? 俺達がSAOで最初に作ったアバターがどうなったか」

「運営からプレゼントされた手鏡を覗き込んだらリアルの姿になっちゃったんですよね」

「そう、だからこのゲームでもそこを再現する為に、チュートリアル中に二回もアバター製作が組まれてる」

「後で手鏡を見るイベントがあるって事ですか?」

「だな、二回目のアバター製作ではアバターを変更するか変更せずにプレイするか選択肢が出る。

 チュートリアルが終わったら安全圏なら何時でもアバターの性別や身長を好きなだけ変えられるぞ」

「一回目のアバター製作をそのまま引き継げるのなら、気合入れて作らなきゃですね」

「適当なパターンから選ぶだけだから直ぐ終わると思うぞ? リアルの写真を取り込んで加工とか無いしな」

「そうなんですか、えっと、女性、ボイスは3かな、髪形は2-2で、髪型は明るめで、顔は1-3、目の色はお好みで、

 身長は低めで、肌の色は変えなくて良いですね。名前を入れて――――はい、できました!!」

「よし、ではスキップ連打だ」

「――――え?」

「スキップ連打」

「あの、女の子のキャラクターが出てきてるんですけど?」

「そいつは、このゲームのパートナーキャラクターでソロでボス戦をする時にサポートしてくれるんだ。だからスキップ連打」

「ちゃんとストーリーを読まないとゲームが面白くならないじゃないですか!」

「わかった、しっかり読む派だったんだな、一回目はしっかり読み込むと良い」

「……一回目って、どう言う意味ですか?」

「このゲームな、チュートリアル中に初回限定ガチャがあるんだが、それで【蒼の追随】って言う☆4のソードスキルを引かなきゃ地獄だ」

「地獄?」

「基本的に【蒼の追随】ってスキルは超優秀でな、瞬発力攻撃力攻撃範囲の全てが最強に近い、総合力でも超魅力的だ」

「その【蒼の追随】を引かずにゲームを続けたらどうなるんです?」

「まず経験値の入手量がガタ落ちする。【蒼の追随】は槍のソードスキルなんだが、槍以外の武器は基本単体攻撃のみだ」

「単体攻撃?」

「槍以外の武器は一回攻撃すれば一体の敵に一回だけ攻撃が当たる」

「槍ならどうなるんです?」

「攻撃範囲内に10000匹居れば一回の攻撃で10000回攻撃が通る」

「…………これ、ソードアート・オンラインのゲームですよね?」

「ランスアート・オンラインじゃないぞ? 何か別のゲームになって大変な事になりそうだし」

「何で剣が優遇されてないんですか!!」

「俺に言うな! 運営に言え!! たぶん開発者に『月夜の黒猫団』のファンが居るんだろ槍のイメージキャラクターだしな」

「好みでゲームシステム弄って良いと思ってるんですか!!」

「思ってるんだろ! じゃなきゃこんなゲームシステムにはなってねぇよ!」


 暫くSAOゲームとはどうあるべきかと言う、熱い議論が行われた。


「さて、気を取り直して行くぞ、最初はスティック操作に慣れてくれ」

「女の子に話しかけなくて良いんですか?」

「後で良い。まずは真っ直ぐ上にスティックを動かせ」

「前に進んでますよ」

「そのままの状態で方向を変えるぞ、前に進んだまま背景を進みたい方向に押さえて動かせ」

「左手で進みながら、右手の人差し指で方向を変えたら良いんですか?」

「あぁ、基本はスティックを上に動かすと真っ直ぐ前に進むからな、カメラの位置がわからなくなったら基本に戻ると良い」

「右上にあるのはマップですか?」

「触って見ろ、現在地と目的地がわかるぞ」

「えっと、今第一層の迷宮区で、目的地がこのマーク、女の子の位置ですね」

「マップを開いた状態でも移動とステップはできるぞ」

「ステップ?」

「一度マップを戻して、右下のアイコンを見ろ、ダッシュアイコンがあるだろ」

「これがステップですか」

「SPが多少減るが直ぐに回復するから好きなだけ使うと良い、ついでにソードスキルや通常攻撃も使ってみろ」

「これ、剣のソードスキルって事は一回しか攻撃が当たらないんですよね? 槍はどこですか?」

「後で切り替えできるようになるから今はそれで我慢しとけ」

「ソードスキルを使った後、時計が回ってますけど、これがクールタイムですか」

「アイコンの色が戻ればまた使えるようになるがな、SP不足でも使えなくなる」

「そろそろ女の子に話しかけますね」

「近づくと攻撃アイコンが会話アイコンに切り替わるんだが、キャラクターを直接タップすると話しかけたことになるぞ」

「あ、名前を決めれるみたいですね」

「好きなのでも良いが、俺はそのままにしてあるな」

「それじゃあ、このままにします」

「次はモンスターを攻撃する方法だが、近づいて攻撃するも良し、俺はモンスターを直接タップしてロックオンしてるな」

「あれ? ロックオンしてもソードスキルが当たりませんでした」

「敵の移動中に振ったから外れたんだろ、チュートリアルでは敵が反撃してこないからどこまでも歩いていく、

 できるだけ足が止まった所を攻撃するんだ」

「――――また外れました」

「落ち着け、敵が何秒間立ち止まるか、何秒間歩くか、見極めるんだ」

「やっと倒せました」

「次は転移門広場か、マップ開いて目的地を確認するんだ」

「その前に、広場をお散歩して良いですか?」

「好きにしろ」


 暫く広場を回った後、満足したのか目的地にむかった。 
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