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レーヴァティン

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第六十五話 志摩の海賊その六

「それだけのこと」
「それで釣れるか」
「鯉が一匹」
「それは何よりだな」
「そして大魚がいや龍が九人」
「龍は匹ではないのか」
「あえてこう言ったまで」
 こう返すのだった。
「今は」
「龍を入れる籠はないな」
 英雄は男の傍を見た、そこには確かに籠はあったがそれでも龍の様な巨大なものを入れるものはなかった。
「それでも釣れたか」
「今しがた」
「ではその龍は何処にいる」
「後ろに」
「後ろか」
「我の」
「ではその龍は俺達か」
 英雄は男にこうも問うた。
「そうなのか」
「そう思うか」
「他には考えられないがな」
「ではその龍の考えを知りたい」
 男は今も振り向かない、そうしつつ英雄と受け答えをするのだった。
「今何を考えているか」
「この世界に来た理由は知っている」
 それでというのだ。
「その来た理由を果たすまでのこと」
「それが龍の考えか」
「龍を十三人揃えてだ」
 英雄は男の言葉に乗って言った。
「そして島も統一してだ」
「龍の力と島の力を使い」
「西の島もそうする、そのうえで」
 二つの島とそこにいる者達の力を使ってというのだ。
「下の世界を海で覆っている魔神を倒し世界を救う」
「それで終わりか」
「まだあるというのだな」
「そうだ、あるのではないのか」
「魔神を倒して世界を海から出してもか」
「まだあるのではないのか」
 男は英雄に問うた。
「そうではないのか」
「魔神を倒して終わりではないか」
「そう考えたことはないか」
「そこまでは考えたことはなかった」
 英雄は男に答えた、実際に彼も今ここにいる面々もそうしたことは考えたことは一度もなかった。男に問われるまで。
 そしてそのことをだ、英雄は正直に答えたのだ。
「全くな、しかしだ」
「しかしか」
「まだそれで世界が救われていないならな」
 その時はというのだ。
「俺は戦うまでのこと」
「この世界を脅かす者達と」
「そうする」
 こう男に答えた。
「終わりでないならな、そしてこの島もな」
「治めていくか」
「そうする、この島を統一したならな」
 それならばというのだ。
「次はそうする」
「島は出ないか」
「何故出る」
 英雄は男の言葉に鋭い声を返した。
「俺達はこの島に来た、それならばだ」
「責任があるか」
「そうだ、誰が何故ここに呼んだかは知らないが」
 それでもというのだ。
「俺達はこの島に来たならな」
「それなりの責任があるか」
「その筈だ、ならだ」
「この島を救ってもか」
「やるべきことがあるならな」
 それならばというのだ。 
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