真田十勇士
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巻ノ百四十八 適わなかった夢その四
「だからな」
「それでは」
「もう我等はそれぞれ死力を尽くすだけですか」
「大坂の時以上に」
「戦いそしてですか」
「勝つ」
「それだけですか」
「そうじゃ、多くの伊賀者達に剣豪達がおり」
そしてというのだ。
「そのうえな」
「伊賀十二神将ですな」
「あの者達もいますな」
「伊賀者でも最強と詠われている彼等が」
「彼等もいますな」
「間違いなくいる」
その彼等もというのだ。
「だからな」
「はい、我等はですな」
「その十二神将達とそれぞれ戦うことになりますな」
「伊賀最強の彼等と」
「それが我等の役割ですな」
「そうなる、激しい戦になるしもう策を立ててもじゃ」
例えそうしてもというのだ。
「意味がない、だからな」
「はい、承知しました」
「我等十二神将とそれぞれ闘いまする」
「そしてあの者達を防ぎそうして」
「殿はですな」
「お一人になられても」
「そうじゃ、大御所殿の御前まで向かい」
そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「大御所殿に勝たれる」
「そうされますな」
「何としても」
「殿お一人になられても」
「拙者は退かぬ」
決してとだ、幸村は十勇士達に強い声で答えた。
「何があってもな、そしてな」
「そうしてですな」
「そのうえで、ですな」
「大御所殿の御首を取られ」
「勝たれますか」
「首を取るかどうかは別としてじゃ」
このことは今もどうでもいいという風に言う幸村だった、そこにある言葉には達観すら感じられた。
「拙者は勝つぞ」
「ですか。何としても」
「大御所殿に勝たれますか」
「そうされますか」
「必ず」
「お一人になられても」
「思えばこれからの戦の為に武芸を磨いてきたか」
幼い時からとだ、幸村は遠くを見て話した。
「例えどうなっても。身体が指一本でも動くならな」
「それならばですか」
「戦われてですか」
「そうしてですか」
「戦って勝たれ」
「帰られますか」
「そうする、勝ちて帰る」
まさにという言葉だった。
「そうする、ではな」
「それではです」
「我等もです」
「必ずです」
「戦い生きて帰ります」
「そうなります」
「十人全てが」
「生きて帰ります」
まさにと言う十勇士達だった、そのことを話してそうしてだった。そこに大助も入って来たのだった。
「それがしもです」
「うむ、お主もじゃな」
「真田の者なので」
それ故にと言うのだった。
「必ずです」
「生きて帰るな」
「戦いそのうえで」
「そうじゃ、真田の武士道は死なぬ」
「どうした場合でも生きる」
「忍術とも同じでな」
それでというのだ。
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