ドリトル先生と奇麗な薔薇園
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第七幕その二
「合わないね」
「色々なお花が合うお国なのに」
「薔薇となるとね」
「着物とか十二単には合わないわね」
「そして日本の鎧や刀にも」
「日本の鎧や刀は芸術だよ」
はっきりと言い切った先生でした。
「まさにね」
「うん、そうだよね」
「日本の鎧や刀は本当に恰好いいわ」
「芸術の域に達してるね」
「あんな恰好いいものもそうそうないよ」
「けれど薔薇には合わないだろうね」
日本の鎧や刀はというのです。
「勿論華道にも茶道にもお寺や神社にもね」
「つまり何にも合わない?」
「日本文化に薔薇は」
「どうしても」
「うん、昔の日本にはね」
先生はまた言いました。
「薔薇はないね」
「明治以降?」
「それも限られた状況かしら」
「洋館には合うよ」
こちらにはというのです。
「日本でもね」
「あっ、明治以降の」
「ああした建物にはね」
「薔薇は合うわね」
「うん、まあ大正の頃の袴少女にはやっぱり桜とかになるけれど」
この服にはというのです。
「けれど洋館には合うね」
「そうだよね」
「日本の洋館には薔薇も合うね」
「ああした建物には」
「そう思うよ、そうだね」
ここでこんなことを言った先生でした。
「薔薇と洋館の和歌ならね」
「出来る?」
「かなり新しい和歌になると思うけれど」
「それが出来るんだ」
「和歌は別に昔の趣の日本だけを詠うものじゃないだろうし」
それでというのです。
「薔薇も詠っていいんだ」
「そして洋館も」
「そちらも」
「そうだと思うよ」
こう皆に言う先生でした。
「僕はね」
「そうなんだね、あとね」
「日本の洋館って日本の建物だよね」
ここでチープサイドの家族が言いました。
「イギリスやフランスの建物じゃないよ」
「日本の建物だよ」
「中にいてもそうなんだよね」
トートーもこう言います。
「日本の洋館は欧州の家と違うよ」
「湿気とか季節の寒暖への対処が出来てるわ」
ポリネシアもこう指摘しました。
「日本の洋館は」
「日本の洋館は欧州のお家の外見と内装なんだけれど」
それでもと言うダブダブでした。
「やっぱり日本のものなのよね」
「完全に欧州のものか」
はっきりと指摘したチーチーでした。
「違うね」
「うん、欧州のお家あんなに湿気とか寒暖の違い考えてないから」
ジップもそこはわかります。
「もう別のお家になってるよ」
「地震のことも考えているから」
ホワイティは残念ながら日本に付きもののこの災害のことをお話しました。
「そこも違うね」
「完全に日本のお家だね」
老馬も断言します。
「日本の洋館は」
「そうだよね、王子の今のお家だってね」
ガブガブは王子が日本で住んでいるそのお家を思い出しました。
「日本の中にあるって感じだし」
「うん、本当にね」
「日本の洋館は完全に日本の中にあるよ」
最後に言ったのはオシツオサレツでした。
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