空に星が輝く様に
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367部分:第二十七話 護るものその十
第二十七話 護るものその十
狭山と津島はそこに来てだ。さらに話すのだった。
「で、椎名は?」
「ここで待ち合わせって言ったのにな」
「何でいないんだよ」
「まだなのかしら」
こう話してそこに来た二人だった。二人共左右を見回してそれで椎名を探している。
「ひょっとしてたらもう来てるのかもな」
「ああ、それあるわね」
津島はここでは狭山の言葉に頷いた。
「椎名って悪戯好きだからね」
「先に来ててそれであっとな」
「脅かすとかね」
「普通にやる奴だからな」
「ねえ、あんた達」
津島が三人に気付いて彼女達に声をかけた。
「三組の椎名さん。あの背の小さい」
「あいつ?」
「あいつがどうしたのよ」
三人はまた椎名の存在を受けてだ。不機嫌そのものの顔で返事をした。
「何だってんのよ、今度は」
「そうよ、どうしたのよ」
「それで」
「何でこの人達不機嫌なんだ?」
「さあ」
狭山と津島は三人のことも知らない。それでどうして彼女達が怒っているのかもわからない。彼女達と椎名の関係も知らないからだ。
「まあそれでな」
「そうよね」
「椎名知らねえ?」
「ここに来てくれって言われたんだけれど」
「だから知らないわよ」
「あいつのことなんて」
これが彼女達の返答だった。嫌そうな顔での返答だった。
「私達だってたまたまここに来たし」
「そうよ、たまたま」
「たまたまだけれどね」
「それはいいけれど」
津島は三人のその刺々しい口調にきょとんとなっている。そうしてだった。
とりあえずはだ。狭山に問うた。
「ここで間違いないわよね」
「だよな、御前も言われたよな」
「私もね」
「ここだってな」
「そうよね」
このことを二人で確かめ合う。しかしそれでもだった。
椎名はここにはいない。何処にもだ。幾ら見回してもだ。
「あいつ時間は守る主義なのにな」
「もう時間なのに」
「いるのはこの三人か」
「何でトンカチとかマジック持ってるのかしら」
二人はここで彼女達のその手にあるものに気付いたのだった。そのことに妙なものを感じた。しかしここで三人がまたムキになって言い返す。
「だからよ」
「何でもないわよ」
「あんた達には関係ないわよ」
「まあそうだよな」
「それはね」
二人はまた三人に対して応え返す。
「全然な」
「あんた達と話したことあったっけ」
三組と四組は体育等は一緒の授業だ。男子と女子に別れてそのうえでだ。しかしそれでもだ。津島と三人の関係はというとだった。
「なかったわよね」
「そうね。確か」
「津島さん?」
「そうだったかしら」
「ええ、そうよ」
津島は自分の名字を言われてこくりと頷いてみせた。
「それはね。その通りよ」
「そういえば話したことないけれど」
「まあ。何よね」
「もういいわ」
三人はだ。彼等とやり取りをしているうちにやる気を失った。それでここで今日はもういいとさえ思ったのだ。
それでだ。今度はこう言うのだった。
「帰ろうか」
「そうね」
「それじゃあね」
「帰るから玄関にいるんじゃないのか?」
今度は狭山が目をしばたかせながら延べた。
「違うのかよ、それ」
「そうよ、その通りよ」
「今から帰るんだけれど」
「悪い?」
「悪くないけれどな」
また言う狭山だった。目をまたしばたかせる。
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