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空に星が輝く様に

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361部分:第二十七話 護るものその四


第二十七話 護るものその四

「おはよう」
「うん、おはよう」
「それでだけれど」
 椎名は自分から話してきた。そうしてだった。
「今ね」
「うん、今?」
「教科書とかノート持ってる?」
「持ってるけれど」
 きょとんとしたまま答える月美だった。
「いつもね。持ち帰ってるから」
「それでその都度持って来てなのね」
「そうだけれど」
「学校には置いてないのね。よかった」
 それを聞いてだ。少し頷いた月美だった。
 そしてそのうえでだ。椎名は言うのだった。
「それなら安心ね」
「安心って?」
「何でもない」
 ここから先はあえて言わない椎名だった。いる場所は月美の席の側である。指定席にいる。しかし言うことと来る時間が少し違っていたのだ。
 特に月美はだ。その時間について話すのだった。
「あの、愛ちゃん」
「何?」
「今日来るの早いのね」
 このことを言うのだった。
「本当に」
「そうかな」
「だって。いつもは今よりもう少し遅いのに」
「そうかな」
「そうだったと思うわ。今日は本当に早いわ」
 月美はこのことをまた言う。
「何かあったの?」
「気にしないで」
「気にしないでって」
「大したことないから」
 こう言うだけの椎名だった。
「本当にね」
「そうなの。それじゃあ」
「それじゃあ?」
「面白い本があったけれど」
 こう話す椎名だった。話を変えてきたのだ。
「どう?」
「どうって?」
「そう。最近」
「特に何もないけれど」
 またここでもきょとんとした顔になる椎名だった。
「これといって」
「おかしなことはないのね」
「特に。本当に」
「だったらいい。それで」
 また言う椎名だった。
「今度また本を買うつもりだけれど」
「あっ、そうなの」
「そうそう。それでまずは座って」
 気付けばだ。月美はまだ自分の席に着いてはいなかった。それで椎名は彼女に対してこう言ったのだ。自分の席に着くようにだ。
「そうして」
「うん、じゃあ」
 こうして月美に座ってもらった。あらためて隣同士になってからまた話す二人だった。
 椎名はだ。その月美に話すのだった。
「今度は海外の文学考えてるの」
「海外っていうと?」
「ポー」
 まずはこの言葉からだった。
「エドガー=アラン=ポー」
「その人なのね」
「黒猫って面白い?」
 具体的な作品名も出してきた。ポーの代表作ほ一つだ。
「あの作品は」
「面白いっていうか」
 こう返す月美だった。椎名のその顔を見ながらだ。
「怖いの」
「そう、怖いの」
「それもかなり。一回見たら忘れられない位」
「そこまでなのね」
「どんなお話かは言わないけれど」
 椎名への気遣いである。話の内容を言えば面白くなくなると思ってである。
 
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