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空に星が輝く様に

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359部分:第二十七話 護るものその二


第二十七話 護るものその二

「あのチームはそれこそ手段を選びませんから」
「だよな。あそこは本当に何でもするからな」
「ですから。そういうコードが現実にも使えたら」
「同じか」
「そう思いますけれど」
「言われてみればそうだよな」
 陽太郎もここで気付いたのだった。
「こっちが使えたら向こうも使うよな」
「ですから本当に同じですから」
「意味ないな」
 このことを再認識した陽太郎だった。
「じゃあいいか」
「はい、残念ですけれど」
「全く。上手い話ってないよな」
「そうですね、野球も」
「阪神っていい話ないからな」
 陽太郎はこんなことも言った。
「どうしてもな」
「ここぞっていう時には負けますしね」
「本当に絶対に負けてくれるよな」
「そうですよね。見事なまでに」
「全く。そうしたことはよくできてるよ」
 全く以てという陽太郎の今の言葉だった。
「阪神ってなあ。本当に」
「昔からみたいですね」
「らしいな。ここぞっていう時によりによって甲子園で巨人に負けるとか」
「それ私達が生まれる前ですよね」
「親父に聞いたんだよ」
 つまりその年代の話だというのである。
「それで目の前の巨人の九連覇を見たってな」
「ちょっと。それは」
「最終戦でな。何でそこまで演出できるかな」
「阪神しかできませんよね」
「ああ、阪神だよな」
「本当にですよね」
「けれどなあ。それでもなんだよな」
 陽太郎は腕を組んで述べだした。首も捻るがその動作が妙にだ。愛情さえ感じさせるものになっていた。それは月美にもわかった、
「阪神ってそれでもな」
「それでもなんですね」
「絵になるんだよな」
 そうだというのであった。
「どんな勝ち方でもどんな負け方でも絵になるよな」
「お家騒動でもですよね」
「あんなチームって阪神だけだしな」
 こう言って阪神への愛情を見せる彼だった。
「色々なスポーツチームあるけれどな」
「そうですよね。阪神だけですよね」
「そんなチームはな」
「だから皆阪神を応援するんですね」
「一回応援したらもう病みつきになるよな」
「妹なんか凄いんですよ」
 月美はにこにことしながら話を続ける。
「もう部屋の中なんか全部」
「全部?」
「阪神グッズで一杯で」
 そうしたファンが実に多いのも阪神である。それだけ熱狂的だというのだ。
「それで毎日阪神のユニフォームを着てて」
「ユニフォームもなんだ」
「そうなんですよ。パジャマがそれなんです」
「いや、凄いな」
 陽太郎の言葉には尊敬の念さえ宿っていた。
「そこまでか」
「私そこまではいかないですし」
「俺もだよ」
「本当に好きなんだなって思って」
 実際にだ。月美の今の言葉には感心するものが宿っていた。
 そしてそのうえでだ。彼女はまた言った。
「それで」
「それで?」
「私もこの前帽子買いました」
「ああ、阪神の」
「中々被る機会ないですけれど」
「月美の服には似合わないよな」
 彼女のいつもの私服を思い出して話す。想像してみれば実際にそうだった。楚々とした服には野球帽自体が似合わないのだった。
 
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