レーヴァティン
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第六十四話 あやかしその四
「何度優勝したか」
「わからない位っちゃよ」
「そうでしたね」
「うち等が生まれる前にしても」
愛実は二十一世紀に生きている人間として言った。
「凄かったみたいっちゃ」
「その様ですね」
「けれど西武はっちゃ」
「そこまで思いませんね」
未来永劫最下位になっているとだ。
「とても」
「そうっちゃね」
「あのチームは巨人程悪辣ではないですから」
「巨人は悪いことばかりしてるっちゃ」
このことは球史にある、巨人程邪悪の限りを尽くしたチームは世界のスポーツ界でもそうはないであろう。
「まさに邪悪の権化っちゃ」
「フロントがそうしていますね」
「元オーナーもっちゃ」
「あのオーナーは酷過ぎますね」
「全くっちゃよ」
「まるで北朝鮮の将軍様の様で」
「そのものっちゃね」
その本質は一緒だというのだ、新聞社の社長であるそのオーナーと悪名高き独裁国家の世襲の国家元首は。
「あれは」
「本当にそっくりですね」
「この世界の豪族でもっちゃ」
「あそこまで酷い方はおられないかと」
「この島ではそうっちゃな」
「はい、確かにどうかという方もおられますが」
「あそこまではっちゃな」
その元オーナーと比べればましだとだ、愛実も言った。
「いないっちゃな」
「そう思います」
「そうっちゃな、しかしっちゃ」
「しかし?」
「この島は豪族や宗教や戦では然程困っていないっちゃが」
「魔物が多いですね」
「それが問題っちゃね」
愛実はこちらの世界のことに話を戻した。
「どうも」
「わたくしもそう思います」
「そうっちゃか」
「はい、この魔物の多さがです」
「この島最大の悩みっちゃね」
「そう思います」
豪族同士の戦の災厄よりもというのだ。
「どうも」
「この島を統一する過程でっちゃな」
「魔物を征伐していき」
「その数をかなり減らすことっちゃな」
「今は異常過ぎます」
魔物の数がというのだ。
「ですから」
「そうしていくべきっちゃな」
「はい、勿論豪族もです」
「組み込んでいくっちゃな」
「そうすべきです」
統一するその中でというのだ。
「是非共。ですが」
「それと共にっちゃな」
「魔物を減らしていかないと」
「その通りっちゃ。そもそもこれからのうち等もっちゃ」
愛実は自分達のことも話した。
「魔物を見に行くっちゃ」
「あやかしを」
「さて、どんな妖怪はこの目で見るっちゃ」
話は聞いた、だが百聞は一見に然かずだ。それで見たいというのだ。
そうした話もしつつだ、一行は船で志摩に向かいそのあやかしがいる場所に近付いていっていた。そしてだった。
そのあやかしがいる場所に来た、見れば何艘かの船達が。
やたらと長い蛇を思わせる魔物が上を潜るのをそのままにしていてだった。魔物がその身体から滴り落としている油を傘達を逆さまにさせて受けていた。
そうして傘の中の油が満杯になればその油を用意してある桶達に入れていた。その様子を見てだった。
英雄は強い声でだ、こう言った。
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