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空に星が輝く様に

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356部分:第二十六話 聴かれたことその十三


第二十六話 聴かれたことその十三

「このコートだったら」
「決まりね」
「いいかしら」
「じゃあそれに唾つけておいて」
「チェックして、なのね」
「そう。帰ろう」
「帰るのね」
 月美がこう言うとだった。椎名はまた言った。
「うん」
「それじゃあね」
「今から。私はもうチェックしたから」
 急かさないがそれでも強く言ってみせていた。
「早く。次は」
「次は?」
「映画館行こう」
 そこにだというのだった。
「そこにでも」
「そうね。それじゃあ次はそこで」
「うん、そこでね」
 次の行き先も決めた。そこでだった。
 ふとした感じでだ。椎名は月美に言ったのである。
「あのね、つきぴー」
「うん、どうしたの?」
「私いつも一緒にいるから」
 こう月美に話すのだった。
「一緒にね」
「今もそうじゃないの?」
「今以上に」
 そうだというのである。
「一緒にいるから」
「そうしてくれるの?」
「そう、特に学校で」
 そうするとだ。月美に言いながら自分にも言い聞かせていた。そうしてそのうえでだ。自分自身への決意をあらたにするのであった。
 そのうえでだ。月美の手をここでも握ってみせたのだった。
「愛ちゃん、一体」
「あったかい?」
 握ったうえでその月美に問う。
「こうしたら。つきぴーあったかいよね」
「うん、温かいけれど」
「そう。一人だと温かくないけれど」
「二人だと」
「こうして温かくなるから」 
 今度話すのはこのことだった。
「覚えておいて」
「うん」
「何があっても絶対に守るから」
 また言う椎名だった。
「行こう」
「う、うん」
 月美は椎名の言葉に頷きながらだ。そのうえで二人で映画館に向かった。椎名にとってはこの日は運命の日になったのだった。だが彼女自身は決意しただけでまだそこまではわかっていなかった。
 そして陽太郎はだ。今携帯から狭山と話していた。そのうえでだった。
 彼はだ。困った顔で狭山に言うのだった。
「そこでそれか」
「そうだよ」
 狭山は電話の向こうでこう話すのだった。
「そこでそうするんだよ」
「ああ、そうなんだな」
「それでそいつ倒せるだろ」
「ああ」
 狭山の言葉に頷きながらだ。ゲームの中であるアイテムを使った。するとだった。
 急にその敵の色が変わった。青くなったのだ。
 それを見てだ。また狭山に話した。
「色、変わったぜ」
「青くなっただろ。光の玉使ったら」
「これで後は倒すんだな」
「そうだよ。それでそいつ倒したらな」
 まだあるというのだった。
「一回エンディングが出てな」
「隠しダンジョンあるんだよな」
「そこのラスボスそいつよりもっと強いからな」
「えっ、こいつよりもかよ」
「それで倒しても時間かかったら駄目だからな」
「短いうちに倒すんだな」
「そうしろよ、絶対にな」
 電話の向こうの狭山の言葉が強いものになった。
 
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