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空に星が輝く様に

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352部分:第二十六話 聴かれたことその九


第二十六話 聴かれたことその九

「それにする」
「わかったわ。じゃあ私もそれでね」
「つきぴーはそれでいいのね」
「ええと。言われてみたら」
「こういうことは私に合わせなくていいから」
 月美が自分に気を遣っているのを見抜いてだ。こう話すのだった。
「だから」
「それでなのね」
「そう、パスタは全部つきぴーも好きよね」
「ええ、それはね」
 食べて頼むことにしたその五つのパスタはだというのだ。
「私も好きだけれど、どれも」
「けれどケーキは」
「私苺のケーキ好きよ」
「もっと好きなものがある筈」
 そうだというのだった。椎名はだ。
「だから。ここはいいの頼んで」
「そうなの」
「そう、つきぴーが食べたいものを頼む」
 自分の前にいる月美を見ながらだ。話すのだった。
「何がいい、それで」
「ええと、それじゃあ」
「うん、それじゃあ」
「これにするわ」
 メニューを見てだ。彼女は決めたのだった。
 そうしてだ。こう言ったのだった。
「これに」
「それね」
「ええ。チョコレートケーキ」
 メニューを開いてだ。椎名にそのチョコレートケーキを見せながら述べたのだった。その指差すところにはだ。実に美味そうなケーキがあるのだった。
「これにするわ」
「うん、じゃあそれで」
「やっぱり。私」
「チョコレートケーキ好きよね」
「苺よりもね」
 まさにそうだというのだった。
「好きだし」
「そういうのは気を遣わなくていい」
「そうなのね」
「だから。じゃあ飲もう」
「うん」
 椎名がワインが入ったグラスを持ったのを見て応えた。
「それじゃあね」
「楽しむ楽しむ」
 ここではあえておどけて言葉を繰り返してみせた椎名だった。そうしてであった。
 二人は昼食も楽しんだのだった。ワインもかなり飲んだ。しかしだった。
 二人共表情はあっさりとしている。顔は全く赤くなっていない。
 その顔でだ。まずは月美が言った。
「あの、ワインって」
「ワインは?」
「全然強くないお酒なのね」
 そうだというのだった。
「私ボトルだとどれ位飲んだかしら」
「三本位」
 椎名はこのことも頭の中で計っていたのだ。
「私は二本半程」
「それでも全然酔わないなんて」
「つきぴーお酒強い」
「強いかしら」
「私も強いけれどつきぴーはそれ以上」
 そうだというのである。
「酒豪だったのね」
「私酒豪だったの」
「その証拠に全く酔ってない」
 椎名はこのことを強く言った。
「それが何よりの証拠」
「そうなのね」
「それじゃあだけれど」
「次はね」
「服、見に行こう」
 それだというのだった。
「これから」
「そうね、服もね」
「買わなくても見よう」
「買わなくても」
「そう、見よう」
 こう言ってだ。椎名は月美のその右手を自分の左手で握ってきた。そのうえでの言葉だった。
 
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