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メイクアップ

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第三章

「髪の毛についても」
「何かお話が読めないですが」
「これから読めるよ」
 つまりわかるというのだ。
「いいね、それじゃあ」
「今からですね」
「メイクするよ」
 こう言ってだ、大介は自身のメイク道具一式を出した。何とそれはバイオリンケースに入っていてだった。
 ケースを開いて由衣のメイクをした、その時についでに髪の毛のセットもした。大介のメイクとセットはプロ顔負けの速さと的確さで。
 まさに一瞬で終わってだ、そのうえで由衣に言った。
「これでいいよ」
「もう終わりですか」
「素早く的確に」
 大介は由衣に正面から微笑んで述べた。
「それが俺のメイクとセットだから」
「そうなんですね」
「そう、それでね」
「もう終わったんですか」
「鏡見る?」
 大介は微笑んだまま由衣に話した。
「今から」
「お願いします」 
 これが由衣の返事だった、そうしてだった。
 由衣は大介が出してくれた鏡で自分の顔を見た、するとそこには。
 少し垂れ目だが穏やかで整った目とピンクの奇麗な形の唇、形のいい鼻を持っている少女がいた。髪もだった。
 ツヤがありアクセサリーも程よく付いていて奇麗にまとめられている。その少女を見てだった。由衣は思わずこう言った。
「今鏡に映っている人が」
「君だよ」
 大介は由衣に笑って答えた。
「そうだよ」
「そうですよね」
「そう、メイクをしてね」
「変わったんですね」
「そうだよ、それでこのメイクでね」
「舞台にですか」
「エキストラでね」 
 この役でというのだ。
「出てもらうよ」
「わかりました、ただ」
「ただ?」
「自分で言うのも何ですけれど」
 それでもと言う由衣だった。
「凄いですね」
「今の君の顔は」
「はい、凄い美人です」
「君肌が白くて凄くきめ細かくて目鼻立ちもね」
 そうした顔の諸要素がというのだ。
「いいから、それでね」
「メイクをすればですか」
「一気に変わったんだよ」
「そうでしたか」
「そうだよ、じゃあね」
「それならですか」
「そう、舞台出てくれるね」
「そうさせてもらいます」
 由衣は大介に笑顔で頷いた、こうしてだった。
 由衣は実際に舞台にエキストラで出た、舞台はロミオとジュリエットで最初の舞踏会に出ただけであった。だが。 
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