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レーヴァティン

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第六十三話 天津神の場所でその十一

「それもな」
「見に行くのかい?あやかしを」
「そうしようとも思ったが」
「それでもか」
「どうだ」
「見るのかい、あやかしを」
 船乗りは英雄の今の言葉に眉を顰めさせて問い返した。
「そうするのかい」
「実は見たことがない」
 あやかしをというのだ。
「これまでな」
「そうか、それじゃあな」
「連れて行ってくれるか」
「ああ、そういえば珍しいしな」
「あやかしはだな」
「滅多に出ないんだよ」
 船乗りは英雄にこのことも話した。
「これがな」
「そうか、じゃあ乗るかい?それであやかしが消えたらな」
 その時にというのだ。
「志摩に向かうな」
「まずはあやかしを見に行きだな」
「それから志摩だ」
 この国に向かうというのだ。
「そうした道筋で行こう」
「それじゃあな、しかしあんた達見たところな」
 ここでだ、船乗りは英雄達を見てまた言った。
「相当強いな」
「わかるか」
「ああ、その目は普通の目じゃないからな」
 それぞれの目を見ての言葉だ。
「それに気配もな」
「それでわかったか」
「ああ」
 こう英雄達に話した。
「何となくだがな」
「冒険をしていてな」
「その間にか」
「魔物を倒してきた」
「尋常な数じゃないな」
 船乗りは英雄に笑ってこうも言った。
「そうだな」
「そうかもな」
「それも強い奴も倒してきたか」
「巨人も倒してきた」
「それだな、巨人って奴等はな」
「強いな」
「どっから出て来るかわからないけれどな」
 それでもというのだ、このことがこの島でも西の島でも深刻な問題になっている。突然出て来てあらゆるものを破壊するからだ。
「連中を倒すなんてな」
「尋常なことではないか」
「ああ、それも何度もだろ」
「そうしてきた」
「だったらな」
 それこそというのだ。
「あんた達はその分な」
「強いか」
「そうだな、巨人を倒せる位だったらな」
「あやかしもか」
「倒せるな。とはいってもあの妖怪はな」
「油は落とすが、だな」
「実は人を直接襲わないんだよ」
 そうしたことはしないというのだ。
「ただ船の上を越えていくだけだよ」
「その長い身体がだな」
「何日もな。実はそれだけなんだよ」
 問題はその身体から滴り落ちる油だというのだ、その油があまりにも多くその重みで船を沈めてしまうからだ。
「あやかしってのは」
「人は襲わないからな」
「それも一切な、だからな」
 それ故にというのだ。
「あの妖怪を攻撃しようって思ったらな」
「出来るな」
「鱗は相当頑丈だけれどな」
 それでもというのだ。
「攻撃は出来るからな」
「しかし誰も攻撃はしないか」
「鱗が頑丈で並の銛や刀や槍じゃ弾き返されるんだよ」 
 そうされてしまうというのだ、あやかしに。 
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