空に星が輝く様に
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326部分:第二十四話 過ちその十
第二十四話 過ちその十
「諦めな、いいな」
「陽太郎君・・・・・・」
「例え誰か来てもな」
またこのことを言ってきた。
「恥をかくのは手前だぜ。襲われる姿見られるんだからな」
「うう・・・・・・」
「わかったら大人しくしやがれ」
言いながら髪の毛を掴んだ。その長く奇麗な髪の毛をだ。
「いいな」
「誰か、陽太郎君・・・・・・」
陽太郎をだ。その瞼に見ていた。だが全てを諦めようとしていた。その時だった。
「よし」
扉が開いてだ。この声がした。
その開いた扉の向こうからだ。彼女が言った。
「正義の味方参上」
「正義の味方だと!?」
「そう、私」
椎名だった。月美に覆い被さったまま扉の方に向いた堀内の目の前にいた。
「私が来たからもう終わり」
「何だってんだ、手前はよ」
「つきぴーの友達」
それだというのである。
「それが私」
「じゃあ手前は何するってんだよ」
「勿論つきぴーを助ける」
言いながらだ。右手にスタンガンを出してきた。そうしてだった。
一歩前に出る。するとだった。
堀内も月美からその身体を離してだ。立ち上がりそのうえで椎名に向かおうとする。その椎名を見てからこんなことを言うのだった。
「何だ、チビじゃねえかよ」
「チビって言うな」
「こんなチビが俺をやっつけようっていうのかよ」
「そう」
こう一言で毅然として返す。
「その通り」
「このチビ」
「チビって言うな」
またこの言葉を出す椎名だった。
「どっちにしろつきぴーは守る」
「手前がかよ」
「そう。覚悟しておくこと」
「そのスタンガンで何するっていうのかよ」
「それだけじゃない」
椎名は堀内を見上げながら話す。足は一ミリも後ろに引かない。
「私はスタンガンだけじゃない」
「何っ、どういうことだよそりゃ」
「そして」
ここからだった。彼に仕掛けた。
その耳には外の音も聴こえていた。足早にこちらに駆けてくる音がだ。
その音を聴きつつだ。言うのだった。
「斉宮」
「えっ、陽太郎君!?」
堀内の後ろでようやく身体を起こした月美がその声に反応した。
「陽太郎君がここに」
「ここよ」
椎名は普段より大きな声を発していた。ただ声に感情は込めていない。
「この倉庫の中」
「そこか!」
「直角に曲がって飛び込んで」
その陽太郎の声にまた言う。
「そして」
「そして?」
「飛び込んで面一本」
こうその声に告げた。
「まずはそれ」
「ああ、わかった!」
陽太郎の声が頷く。そうしてだった。
実際に彼は倉庫の中に飛び込んでだ。それと同時にだった。
「めーーーーーーーーーーーーーん!」
掛け声と共に一本出す。それは椎名に気を取られていた堀内の額を直撃した。
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