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麗しのヴァンパイア

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第五十四話

第五十四話  今日子先生が話すこと
 今先生達が入っているレストランは神戸でも有名なフランス料理のレストランである、だがその最高級の料理とワインを楽しみながら。
 今日子先生は今田先生に深刻な顔で話した。
「そう、あの人のことよ」
「やっぱりそうなのね」
「あの人が私達にそろそろね」
「勝負をしてくるのね」
「そう、挑んで来るみたいよ」
「別に悪いことをしようとはしないのね」
「そうしたことは考えていないみたいね」
「よく奇麗な女の人を狙うけれど」
 カーミラ、彼女はというのだ。
「今はそうしたことはしないのね」
「どうも血ではなくワインや食事を楽しんでるみたいよ」
「そちらをなの」
「そう、血を飲まなくても生きていけるみたいだから」
「そうね、吸血鬼も高位になるとね」 
 言うまでもなくカーミラは極めて高位にある吸血鬼だ。それもドラキュラ伯爵と並ぶ位にだ。
「血を吸わなくても生きていけるから」
「だからね」
 それでというのだ。
「今のあの人はね」
「血を飲まないで」
 吸血鬼だが、というのだ。高位の吸血鬼は確かに血を飲まなくても生きていけるが最高の好物は血であるのだ。
「それでね」
「美酒と美食でなのね」
「日本での生活を楽しんでるけれど」
「戦いも楽しみたくなったのね」
「そうみたいよ」
 今日子先生は家鴨料理を食べつつ自分と同じ料理を食べている今田先生に話した。
「あの人は」
「私達と戦って」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「満足したいみたいよ」
「相変わらずね。あの人にとって戦いはね」
「優雅な楽しみね」
「美しく楽しむ為のね」 
 今田先生は食べつつ話した。
「それじゃあ私達は」
「ええ、選択肢は一つよね」
「魔女としてね」 
 優雅にフォークとナイフを動かしつつだ、今日子先生に答えた。
「挑まれたらね」
「受けて立つわね」
「今日子ちゃんも同じよね」
「勿論よ」
 今日子先生もこう答えた、そうしてだった。
 先生達はどうするのかを決めた、そのうえで食事を楽しむのだった。


第五十四話   完


                  2018・5・23 
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