ブルーベリーへのお礼
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第一章
ブルーベリーへのお礼
瞳ねぇさんの本名はデルタという、元は可愛らしい少女だったが村が焼かれた悲劇に巻き込まれホムンクルスとなり。
そしてその左目は幾つも重なってあるという不気味なものになり右の唇には塗った跡が残った。そうした実に不気味な姿になった。
だがその人柄は愛嬌があり親切でだ、姿からは想像も出来ないまでに清らかな心の持ち主のままだった。
それで彼の外見を怖がる者も多かったが慕う者も多かった、わかる者はわかるということだった。それで街の外れに暮らしていても子供や生きもの達そして心ある人達にはよくしてもらっていた。その彼女の話を聞いてだ。
天空の神々は興味を持った、それで彼等は天界で話をしていた。
「あのデルタという娘だが」
「はい、かつては人間でしたが」
「今はホムンクルスになっていますね」
「村が焼かれる悲劇に巻き込まれ」
「そこで家族も失い」
「自身は死にそうになり」
ホムンクルスになってというのだ。
「あの様な姿になった」
「そうなってしまいましたね」
「ですがそれでもです」
「あの様にです」
「清らかな心のままです」
「人に優しくしています」
天界に集う神々は天界の主神に答えた。
「あの姿故に迫害されることも多いですが」
「ですがそれでもです」
「あの様にです」
「優しい心のままです」
「清らかなままです」
「彼女は救われるべきではないか」
主神はここでこう言った。
「そう思わないか」
「はい、確かに」
「あれだけのことになりましたが心は清らかなままです」
「迫害も多く受けて来たのに」
「心は清らかなまま」
「それならば」
神々も言う、そしてだった。
主神は断を下した、彼は自ら言った。
「余自ら行ってだ」
「そしてですか」
「そのうえで、ですか」
「あの娘に恩恵を与える」
「そうされますか」
「救いをな、ではな」
そのことを決めてだ、主神はすぐにだった。
自分が一番信頼する使いの神にだ、こう声をかけた。
「供を頼めるか」
「喜んで」
使いの神は主神に応えた。
「そうさせてもらいます」
「そうか」
「はい、そして」
「そしてだな」
「二人で彼女に恩恵を与えましょう、ですが」
「その前にだな」
「我々で確かめる必要があります」
使いの神は主神にこうも言った。
「我々自身が」
「そうだな、ここで見てもわかるが」
「それだけでは足りないかと」
「我々自身があの娘の前に出てな」
「そしてです」
「娘の真を傍で見てな」
「そのうえで決めるべきです」
こう主神に言うのだった。
「この度は」
「その通りだ」
主神は使いの神の言葉をよしとして頷いた。
「ではな」
「それならばですね」
「今より我等があの娘の前に行くが」
「この姿のままでは行きませんね」
「姿を変えていこう」
「そうしましょう」
使いの神も頷いてだ、こうしてだった。
二柱の神々は姿を変えてそのうえでデルタのところに赴くことになった。そしてある日のことだった。
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