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転生とらぶる

作者:青竹
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機動戦士ガンダム
  2115話

 千鶴がMIPとの交渉に来たという話を聞き、俺はなるほどと思う。
 そうなると、凛のフォローの為に千鶴が来たのではなく、千鶴の交渉を見せる為に凛が一緒に来た……といった感じなのだろう。
 ともあれ、MIPとの交渉が行われるのは、明日。
 もっとも、本当の意味でMIPの上層部と交渉するのではなく、今回はあくまでもMIPの下――それでもある程度の地位のようだが――と交渉するらしい。

「よくMIPとの繋がりを作れたな。シーマの力か?」

 色々と癖や我の強い者達が集まっているだけに、MIP……いや、それ以外にもジオニック社やツィマッド社に何らかの繋がりがあってもおかしくはない。
 ……その繋がりの理由が、何らかの後ろ暗い関係であるのは容易に想像出来るのだが。
 だが、そんな俺の言葉に、千鶴は首を横に振る。

「違うわ。カーウィン家の力よ」
「……は?」

 それは俺にとっても完全に予想外の言葉だった。
 俺がラルから聞いた話によると、カーウィン家というのはダイクン派だったのが理由となり弾圧され、今では家としての規模もかなり落ちている筈だったのだから。
 面と向かってザビ家に逆らったラル家のように、潰されてはいないらしいが……それでも、影響力という意味ではかなり下がっていると聞いていた。
 だというのに、そんな家が何故?

「カーウィン家には、麒麟児と呼ばれる者がいるのです」

 俺の疑問に答えてくれたのは、キャメロン姉妹の姉、ルルーだった。

「麒麟児?」
「はい。私も噂でしか聞いた事がありませんが、機械工学……特にMSに関しては、高い技術力を持っている子供だとか。もっとも、その麒麟児はMIP社ではなくジオニック社に所属しているのですが」

 子供、ね。
 いやまぁ、ルリやラピスにも色々と協力して貰っている俺が、何か言えた義理ではないんだが。

「つまり、その麒麟児が高い技術力を持っているから、MIPと接触する事が出来た、と?」
「はい。とはいえ、その麒麟児……メイ・カーウィンは現在ダグラス・ローデン大佐と共に行動しており、ズム・シティにはいないらしいですが」
「ダグラス・ローデン大佐? ……なるほど。そっちから繋がるのか」

 その名前は、以前ラルから聞いた事があった。
 ダイクン派の中でも有名な人物。
 ダイクン派だというのに大佐という地位にいて、しかも未だに前線で戦っていると考えれば、明らかに有能な人物なのは間違いない。
 正確には、前線でこき使われているという表現が正しいのかもしれないが。

「で、MIP社はそのメイ・カーウィンの力を借りたいから、千鶴との会談を行う訳か?」
「そうね。向こうは恐らくそのつもりだと思うわ」

 哀れな。
 そう思わないでもない。
 いやまぁ、MIP社の者にしてみれば、聞いた事もないような存在と会う事によって、麒麟児と呼ばれるジオニック社の技術者たるメイ・カーウィンの協力を取り付ける事が出来るのだから、そちらの方を重要視するのは、今の時点では当然なのだろうが。
 もしくは、MIP社の連中がこっちについてどこまで情報を掴んでいるのかは分からないが、背後にラルがいるというのを知れば、MSパイロットとして何らかのアドバイスを貰える可能性もある……と、そんな事を考えている可能性もある。

「それで、機体としては何を見せるつもりだ?」
「F-32シュヴェールトよ」
「……は?」

 千鶴の口から出た名称は、完全に俺の予想外の存在だった。
 F-32シュヴェールトというのは、イスルギ重工が開発した戦闘機で、その試作機はリオンの原型となった機体でもある。
 戦闘機として非常に高性能な戦闘機なのは間違いないのだが、リオンを始めとした人型機動兵器が主流となった関係上、幾ら高性能ではあってもただの戦闘機でしかないF-32シュヴェールト……面倒だからF-32でいいか。そのF-32ではリオンを始めとしたAMの戦闘についていける筈もなく、結果としてお蔵入りになった機体だ。
 高性能な機体だけに、戦闘機以外の……それこそちょっとした防衛力を持つ移動手段とか偵察機という扱いをすれば、まだ十分に使い勝手があるのだが。
 あるいは、シャドウミラー以外であれば2級の戦力として生き残る道があったかもしれない。
 だが、シャドウミラーの場合はキブツのおかげで資源に困るという事が基本的にない以上、2級の戦力とかそういうのは殆ど必要ない。
 結果として、F-32はシャドウミラーの中では量産されることもなく、技術的な標本として存在してるだけとなっていた。

「……何でここでF-32? 確か、以前相談した時はジン、ストライクダガー、リーオーといった機体の設計図を見せるって話じゃなかったっけ?」
「ええ、私達も最初はそのつもりだったんだけど……この世界に、特にジオン軍について色々と調べた結果、F-32が最善という選択肢になったのよ」
「何でだ?」
「いや、儂もそのF-32という機体の資料を見せて貰ったが、恐らくMIPは食いついてくるだろう」

 俺の疑問に答えたのはラルだったが、こっちもまた俺にとっては完全に予想外の返答だ。

「詳しい理由を聞かせてくれ」
「うむ。まず、第一に……現在ジオン軍の中で戦闘機らしい戦闘機、具体的には地球上で飛行が可能な戦闘機は存在しない。……儂が聞いた話では、1週間程前にドップという機体のテスト飛行を行い、それが採用される事がほぼ確定された……といったところだ」
「正直、よくそれで地球降下部隊を送り出したなと、褒めればいいのか……空を支配される事がどれだけ危険なのか分からない程に馬鹿なのかと呆れればいいのか、どっちだ?」

 空を支配するという事の意味は、非常に大きい。
 MSでどうにかしようとしたのか?
 いや、ジオン軍のMSは空を飛べない。
 将来的には、もしかしたらAMのように空を飛べるMSが出てくる可能性もあるが、現在のザクではどうあっても無理だろう。
 そんな状況で制空権を連邦に奪われるという事は、大きな損失なのは確実だった。

「コロニーを住居としているジオン軍にとって、空を飛ぶ戦闘機というのは開発に難航するのです。寧ろドップの開発が成功した事を褒めてもいいくらいかと」

 眼鏡を直しながらルルーがそう言うが、何だか微妙に偉そうな感じがするな。
 いや、本人にそんな意識はないんだろうが、元々そういう性格をしているというか。

「大気圏内の航空機に関するノウハウがない為、基本的にはシミュレーションで開発された機体となりますが……当然そのような状況で開発された以上、性能としては今ひとつといったところです。バランスの悪い機体を大推力のエンジンと姿勢制御スラスターで強引に飛ばしているので、運動性は非常に高いものの、航続距離は非常に短いという欠点があります。よって、F-32という機体はジオン軍にとっては非常にありがたいものかと。……もっとも、ジオン軍はMS至上主義に近い者も多いので、その機体の意味を正確に理解出来る者がどれだけいるのかは分かりませんが」

 ルルーの長い説明で、大体理解出来た。出来たんだが……俺が聞いた話によると、ジオン公国として独立した時に、ここに駐在していた連邦軍を引き入れたって事だったと思うんだが。
 そういう連中なら航空機についての知識やノウハウを持っていてもおかしくはないし、オデッサを占領した時に戦った連邦軍は当然戦闘機の類を出してきたのだろうから、それを鹵獲するとか、連邦軍の軍人を利用して戦闘機を横流しさせて研究させるとか、そんな事はしなかったのか?
 あー……いや、でも、ギレンの優性人類生存説で自分たちが選ばれた存在だと思っていたから、自分達よりも劣った存在の連邦軍の兵器は必要ないと判断したのか、それともルルーが言ったようにこれまでの戦いでMSが優秀すぎたが故に、その辺を問題視してなかったのか……
 恐らくMSの過信が目的だろうな。
 ただ、宇宙でならそれでもいいのかもしれないが、重力があって空がある地球ではそうもいかない。
 ……なるほど。そんな時にMIPに戦闘機が持ち込まれれば、向こうにしてみれば絶対にこっちを引き込みたいと思ってもおかしくはないか。
 ただまぁ、もうドップで戦闘機が決定している以上、MIPがF-32を用意しても、それを使うかどうかは利権的に難しいと思うが。
 また、F-32を選んだというのも納得だ。
 シャドウミラーの所有する戦闘機としては、他にソルプレッサというのもある。
 だが、このソルプレッサはビーム兵器を持っているのだ。
 それこそMSや戦闘機にビーム兵器を搭載するのにも困っている現状、そんな物を持ち込めば嫌でも注目を集めてしまう。
 それに比べれば、F-32の武器はバルカンとミサイルのみ。
 ジオン軍に怪しまれず、それでいて是非欲しいと思われる兵器という点ではこれが最良だろう。

「ただ、F-32を出すとなると、MIPの方も色々と千鶴を怪しむんじゃないか?」
「そうね。実物もマハルにあるシーマ艦隊だったかしら。そのパプア級に積み込んで持って来てるし」
「……実物を持って来たのか……」

 設計図だけなのと、実物があるのとではその説得力は大きく違う。
 少なくても、俺達はそれを設計して実際に作れるだけの技術力を持っていると、これ以上ない形で示しているのだから。
 もっとも、F-32は正直なくなっても特に損害らしい損害はないので、特に問題はない。
 設計データの類はあるので、シャドウミラーなら特に問題なく量産は出来る。
 そうなると、MIP社にF-32を渡しても特に問題はない、か。

「それで、MIP社と会うのは明日だって話だったな?」
「言っておくけど、アクセル君は来ちゃ駄目よ? 今のアクセル君の外見だと、MIP社の人に侮られるし」
「なら、これでいいのか?」

 千鶴の言葉に、軽く指を鳴らす。
 次の瞬間、俺の全身が白炎に包まれ、やがて10代半ばの姿から20代の姿に変わる。
 俺の記憶を見たせいか、この姿を知っていたのだろうセイラは特に驚く様子を見せなかったが、セイラと千鶴、ラル、ハモン以外の面々は全員が驚愕の視線を俺に向けていた。

「駄目よ。その姿はルナ・ジオンについてセイラが建国宣言をする時に必要になるでしょう?」
「……なら、こっちか?」

 再び指を鳴らすと、次の瞬間には10歳くらいの姿へと姿を変えていた。
 再度セイラと千鶴、ラル、ハモン以外の面々は驚きを露わにしている。

「あのね……MIP社の人と会うのよ? その相手が子供連れだとどう思う? ……めっ!」

 千鶴のその言葉に、これ以上言っても無駄だと判断して再び10代半ばの姿になる。
 いっそ混沌精霊の姿になってやろうかとも考えたのだが、そうなると間違いなくここが混乱の渦に巻き込まれるのは確実だった。
 俺も意味もなくエデンを混乱させようとは思わないので、混沌精霊はやめておく。

「分かったよ。じゃあ俺はこっちに残っている。……ラル、何かやるべき事はあるか?」
「アクセル、今のは前にも見た……」
「ん? ああ、姿を変えるのか。俺にとってはそこまで難しい話じゃないぞ。シャドウミラーと取引のある世界には、年齢詐称薬ってマジックアイテムもあったりするしな」
「何だ、そのあからさまに犯罪臭い名前は」

 ラルが俺の言葉にそう突っ込んでくるが、実際にそういう名前なんだから、俺にはどうしようもない。
 いやまぁ、それを知った殆どの奴が同じ反応をするのだが。
 実際に悪用すれば犯罪に使えそうな代物なのは間違いないし。

「まぁ、その辺はルナ・ジオンが建国してシャドウミラーを通して他の世界と交流出来るようになれば、自然と経験していくことだろうしな」

 マジックアイテムという点では、ペルソナ世界のマジックアイテムもかなり有用ではある。
 ……まぁ、タルタロスがなくなった以上、高性能なマジックアイテムを入手する事はもう出来なくなったので、将来が楽しみだというのが正式なところだが。

「ともあれ、話は分かった。俺は結局ここで待ってるから、千鶴は頑張ってMIPと交渉してきてくれ。……心配するような事はないと思うけど、一応気をつけろよ」

 F-32に目を眩んだり、千鶴の美貌に目が眩んだりして、MIP社側が妙な事をしてこないとは限らない。
 もっとも、千鶴もシャドウミラーの一員として、生身の戦いという点においてはシャドウミラーでもトップクラスの実力を持つ。
 エヴァを相手に戦闘訓練しているのは、それこそ伊達ではないのだ。

「ふふっ、任せておきなさい。アクセル君が心配しているような事があったら……長ネギの出番ね」

 長ネギ? とラル隊の誰かが呟く声が聞こえてきたが、それを聞いた千鶴はオホホホホと笑い声を上げてその相手に視線を向ける。
 そうして視線を向けられた相手は、顔中に汗を掻きながら必死に視線を逸らすのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1435 
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