貴方の心が好きだから
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第一章
貴方の心が好きだから
マリアナには秘密がある、外見はとても可愛らしい女の子だが実は性別は成人している男なのだ。所謂男の娘だ。
しかしそのことは誰にもそれこそ自分が行き倒れていたところを拾って助け探偵事務所の助手をさせている少年ルティオに対してもだ。
内緒にしている、しかし。
誰もが彼を美少女と思い美少女探偵とさえ呼ばれている。その為彼の探偵事務所はいつも客が絶えない。これは彼女の推理能力の高さも関係している。
ある日マリアナはそのルティオに事務所の仕事の後のお金の書類のことをしながらそのうえで彼に言った。
「ちょっといいかしら」
「どうしたんですか?」
「ええ、貴方私のことどう思ってるのかしら」
「どうって。とてもいい所長さんですよ」
ルティオはマリアナにすぐに答えた。
「本当に」
「そう思ってくれてるの」
「だって拾ってくれてここに置いてくれて」
仕事まで用意してくれてというのだ。
「しかもお家にまで住まわせてくれて」
「だからなの」
「まるで太陽ですよ」
マリアナにこうまで言うのだった。
「本当に」
「そうなの」
「はい、僕にとっては」
まさにというのだ。
「最高の人です」
「私はそうなの」
「こんないい人いないです」
「それは誉め過ぎよ」
「誉め過ぎじゃないですよ」
ルティオにとってはというのだ。
「本当に」
「だといいけれど」
「若しもですよ」
ルティオはマリアナに真剣な顔で答えた。
「マリアナさんがいなかったら僕死んでましたから」
「あの時私が助けなかったから」
「はい、それで今も養ってくれて」
仕事を与えてくれて家に住まわせてまでしてくれてだ」
「こんないい人いないです」
「そうなのね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「マリアナさんの為ならです」
「頑張れるっていうの」
「はい、そうしていきますから」
「ううん、それじゃあね」
「それじゃあ?」
「私に秘密があったらどうするの?」
自分が既に成人している男であることを隠して尋ねた。
「その場合は」
「その場合はですか」
「ええ。どうなの?」
「そりゃ誰だって秘密はありますよ」
にこりと笑ってだ、ルティオはマリアナに答えた。
「それこそ」
「そうなの」
「はい、僕にだってありますし」
彼の過去のことだ、彼はマリアナと出会うまでのことはマリアナにも話したことが一度もないのだ。
「それこそです」
「誰にでもなのね」
「ありますから」
「私に秘密があってもなの」
「いいですよ」
「そうなのね」
「はい、僕はマリアナさんが好きなのは」
ルティオはそれはどうしてかということも話した。
「マリアナさんのお心が、ですから」
「私の心がなの」
「はい、ですから」
それ故にというのだ。
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