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空に星が輝く様に

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297部分:第二十二話 文化祭その二


第二十二話 文化祭その二

 その国のことを考えながらだ。あらためて話をする。
「で、ちゃんとしたところに寄付をすることを決めて」
「その為によね」
「ちゃんと働いてね」
「頑張ろうか」
「いざ行けつわもの」
 ここでまた言う椎名だった。
「日本人」
「日本男児じゃないか」
「それは違うんだな」
「女の子もいるから」
 自分も女の子だからこその言葉だった。
「そういうことだから」
「よし、それじゃあ皆気合入れてくか」
「日本人としてね」
「日本男児も大和撫子も」
 どちらも絶えようとしているものである。しかし何だかんだで生き残っているのかも知れない。世の中美しいと思われるものは残る運命にあるのだ。
「じゃあ私は」
「御前占いだったよな」
「そう」
 椎名はここでは陽太郎の問いに答えた。
「もう服は用意している」
「まさかと思うけれどよ」
 陽太郎はふとだ。眉を顰めさせて彼女に問い返した。
「その海軍中将の格好か?」
「格好いい」
 こう呟く椎名だった。
「日本軍は最高」
「いや、その格好で占いはしないよな」
 眉を顰めさせたまま椎名に問い返す。
「軍服と占いはちょっと以上に合わないだろ」
「秘技」
「秘技!?」
「瞬間着替え」
 こう言うとであった。椎名はその海軍の軍服を脱ぎ捨てた。そうしてそのうえでだ。紫の薄い頭から被り顔の部分を出した長いヴェールに薄紫のゆったりとしたアラビア風の服になってみせた。まさに一瞬であった。
 その格好でだ。椎名はまた言った。
「これで占いをするから」
「その格好ならいいけれどな」
「そういうことだから」
「しかし椎名ってな」
 陽太郎はここでまたいぶかしむ顔を見せた。
「服着替えるの早いんだな」
「コツがあるから」
「瞬間的に着替えるのにコツがあるのかよ」
「そう、ある」
 椎名の言葉によればそうなのだった。
「この通り」
「そうなのか」
「じゃあ今からはじまる」
 また言う椎名であった。
「喫茶店が」
「で、俺は執事長か」
「その通り」
「ホール長は狭山だったよな」
「そういうこと」
「何か役職変わってるような気がするな」
 しかし今は大した問題ではなかった。それはだった。
「まあいいか。じゃあな」
「ええ、じゃあ御願い」
「わかったよ、占い師兼マスターだったよな」
「マスターは赤瀬」
「おっと、あいつだったか」
「私はゼネラルマネージャー」
 それだというのである。
「広岡達郎」
「お客さんに玄米とか野菜ものばかり出しそうだな」
 陽太郎は広岡という名前には不吉なものを感じた。
「まああの人の野球に対する愛情は凄いけれどな」
「広岡もいいけれど野村、森がいい」
 椎名も何気に自分の野球の好みを話す。
「ああでないといけない」
「渋いな」
「だからヤクルトも好き」
 実は三人共ヤクルトにおいて監督や指導者を務めていたことがある。そしてその時にそれぞれ優勝しているのだ。野村の時だけではないのだ。
 
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