空に星が輝く様に
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
291部分:第二十一話 見てしまったものその八
第二十一話 見てしまったものその八
「私達見たし」
「それも全員よ」
「三人共よ」
「それによ」
特に州脇が言うのであった。
「私達嘘ついたことないでしょ」
「ええ」
星華もそれはわかっていた。三人は嘘は言わないのだ。
「それじゃあやっぱり」
「そうよ。本当にね」
「西堀の奴彼と付き合ってるから」
「斉宮とね」
「間違いないから」
「わかったわ」
星華もここで遂に頷いたのだった。
「それじゃあ」
「ねえ、それでどうするの?」
「ここは」
「一体どうするの?」
「それは決まってるわ」
星華は意を決した顔になって述べた。
「もうね」
「決まってるっていったら」
「やっぱり仕掛けるのね」
「そうなのね」
「ええ、斉宮にね」
彼にだというのである。
「仕掛けるから」
「よし、それならよ」
「私達も協力するから」
「頑張ってね」
「ええ、もう決めたしね」
だからだという星華だった。
「それはね。こうなったら絶対によ」
「ゲットね」
「彼氏ゲットよね」
「そうよ。それで相手は」
言うまでもないことだったがあえて言ってみせた。それは周りにではなく自分自身への誓いだった。誓って己を奮い立たせる為のことだった。
「もうね」
「ええ、文化祭の日にね」
「仕掛けましょう」
「私達も協力するから」
「有り難う」
星華は三人の友情に素直に感謝した。
「それじゃあね。やるから」
「ええ、それじゃあね」
「やってやりましょうよ」
「本当にね」
「決めるわ」
また言った星華だった。
「西堀になんか負けてたまるものですか」
「そうよね。あんな天然を装ってる女」
「胸が大きくてちょっと顔がいいからってね」
「そうそう。お高く止まってね」
三人も星華も月美を完全に誤解していた。四人共彼女とこれといっておおく話したことはない。だからよくは知らないことだったのである。
それでだ。よく知らないままだ。また話すのだった。
星華はその朝御飯のコンビニのお握りを食べながら周囲を見回した。周りにはクラスの皆がいる。しかし彼女が探しているその相手はというと。
「いないわね」
「そうね」
「何処に行ったのかしら」
「まさかあいつのところ?」
ここで三人はこう考えた。
「夜に続いて朝もね」
「有り得るわね、それ」
「そうよね」
そしてだ。その話を聞いた星華もだった。
目を怒らせてだ。立ち上がろうとした。
「ちょっと行って来るわ」
「何処に?」
「何処に行くの?」
「あいつ探してくるわ」
そのあいつが誰なのかももう言うまでもなかった。
「ちょっとね」
「行くの?今から」
「そうするの?」
「ええ、そうするわ」
こう三人にも返す。もう完全に立ち上がっている。
ページ上へ戻る