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空に星が輝く様に

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288部分:第二十一話 見てしまったものその五


第二十一話 見てしまったものその五

「六歳なんだ」
「こっちは十一歳です」
「女の子って十一になったらそうなるのかな」
「うちの妹は特別だと思います」
 月美はその口を少し尖らせて話した。
「本当に」
「そんなにませてるんだ」
「私が陽太郎君と付き合うの知っていて」
 彼のこともここで話に出してだ。そのうえでさらに話していく。
「それをいつも冷やかしてきて」
「って何でそんなの知ってるんだよ」
「あのですね、それは」
「それは?」
「私ついつい言ってしまって」
 陽太郎に対して申し訳なさそうに話す。
「それで」
「妹さんに?」
「家族にです」
 話は陽太郎が当初予想していたより広範囲だった。
「あの、それで」
「家族にって」
「すいません、お酒が入ってついつい言ってしまって」
「ああ、それは仕方ないよ」
「仕方ないですか」
「俺も飲むとさ」
「喋ってしまいますか」
 八条町は酒については非常に寛容である。それで中学生でも三年になれば飲める人間は大抵飲むようになる。高校生ならば当然である。
「陽太郎君」
「俺飲むとあれなんだよ」
「あれって?」
「何か黙るんだよな」
「黙り上戸なんですね」
「そうなるかな。そうなんだよ」
 そうだとだ。月美に話す。
「実はさ」
「私はついつい喋ってしまって」
「喋り上戸な」
「お父さんやお母さんは笑ってくれますけれど」
「親父さんやお袋さんも知ってるんだ」
「はいっ」
 ここではにこりと笑う月美だった。
「その通りですよ」
「それってまずくない?」
「まずいですか?」
「だって親父さんやお袋さんも知ってるんだよな」
「そうですけれど」
「それってやっぱりまずいよな」
 陽太郎はいささか深刻な顔になって述べた。
「御両親に知られてるって」
「けれど別に隠すことありませんよ」
「いや、そうじゃなくてさ」
「何かよくないんですか?」
「よくないっていうかその」
「その?」
「やっぱりまずいじゃないか」
 月美にどう答えていいかわからずだ。八方破れの感じで返した。
「あのさ、そこまで知られてるってさ」
「ただお付き合いして何回かデートしたことを話しただけですよ」
「それだけ?」
「全部ありのまま。ほら」
 今度は月美の方から話す。驚き狼狽する陽太郎の顔を見てだ。そのうえでそれがどうしてかわからずその大きな目をぱちくりとさせている。
「お家の前まで送ってくれたことも」
「それもなんですか」
「はい、それもですけれど」
「ううん、そうだったんだ」
「私達何も悪いこととかしていませんよ」
「そうだけれどさ」
 それを聞いてもだった。まだ言う陽太郎であった。
 
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