レーヴァティン
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第六十一話 伊勢へと続く道その十
「さもないと後が厄介だ」
「この島では治るっちゃな」
そうした病気もと言う愛実だった。
「この島は室町の日本に近いっちゃが」
「当時ああした病気は助からなかった」
「そうだっちゃな」
このことは第二次大戦までそうだった、特に遊郭で感染してそうして多くの者が死んでいったのだ。
「確か」
「そうだった、しかしだ」
「この島では術で治るっちゃ」
「だからというのだな」
「管制してもましっちゃが」
「ましでもだ」
それでもというのだ。
「感染すると厄介だ」
「それだけでもっちゃな」
「ああした病気は悪質ぜよ」
当季も言ってきた。
「一度罹ったらじゃ」
「それだけでっちゃな」
「身体のあちこちがおかしくなるぜよ」
「そう言われるっちゃな」
「だからぜよ、最初から」
「罹らないことっちゃな」
「これに尽きるぜよ」
まずはというのだ。
「本当にそうぜよ」
「だからっちゃ」
「最初から罹らない」
「それが大事っちゃな」
「そうぜよ」
その通りだというのだ。
「だから気をつけてるぜよ」
「あんたもっちゃ」
「そうしてるぜよ」
「それで英雄もっちゃな」
「気をつけている」
実際にというのだ。
「そうしている」
「よくわかったっちゃ」
「遊んでもな」
「遊びには危険が付きまとうっちゃな」
「その危険を避けることも大事だからな」
「ちゃんとそうしたことも気をつけているっちゃな」
「そうして遊んでいる」
実際にというのだ。
「女はな」
「よくわかったっちゃ。しかし」
それでもとだ、愛実は考える顔になり言った。
「うちも気をつけないといけないっちゃな」
「女性は特にですね」
謙二はその愛実に真顔で話した。
「妊娠のこともありますし」
「それっちゃな」
「思わぬ妊娠はされたいですか?」
「まさかっちゃ」
愛実は謙二のその具体的な問いに目を顰めさせて返した。
「冗談ぽいっちゃよ」
「左様ですね」
「心に決めた相手の赤ちゃんでないとっちゃ」
「産めないですね」
「普通はそうっちゃよ、だからっちゃ」
「貴女もですね」
「それは気をつけてるっちゃ」
充分以上にそうしているというのだ。
「心からそうしているっちゃ」
「ですから」
「それでっちゃな」
「はい、ですから」
「病気だけでなくっちゃな」
「そちらのこともです」
妊娠、このこともというのだ。
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