オズのガラスの猫
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第四幕その二
「大きなお口で頭に灯りがある」
「そう、あのお魚よ」
「あのお魚食べられるの」
「食べられてしかもね」
「美味しいのね」
「そうなの」
ナターシャはつぎはぎ娘に答えました。
「お鍋にしたら。あと肝もね」
「肝臓ね」
「凄く美味しいの」
「あんな不細工なお魚が美味しいのね」
「それも凄くね」
「それは意外ね」
「そうでしょ、河豚だって外見は不細工かも知れないけれど」
見る人によってはです。
「美味しいし」
「不細工なお魚もなのね」
「美味しいのよ」
「そういえばエリカもね」
ガラスの猫は自分と同じ猫である彼女のお話をしました。
「色々なお魚食べていてね」
「ええ、鮟鱇とかオコゼもね」
「美味しく食べてるわね」
「恵梨香が出したのをね」
「そうしてたわね」
「実際に美味しいからよ」
ナターシャはガラスの猫とつぎはぎ娘に答えました。
「エリカも食べてるのよ」
「そういうことね」
「ええ、それも美味しくね」
「あたしはそういうのは実感としてないけれどね」
ガラスの猫はくつろいだ姿勢でナターシャに応えました。
「エリカもそうよね」
「美味しそうでしょ」
「そうでしょ、そしてね」
「そして?」
「私達もなのよ」
ナターシャ達もというのです。
「日本に来てそうしたお魚の味を知ったのよ」
「そういうことね」
「そうよ、それで河豚だけれど」
「河豚のお刺身と唐揚げもなの」
「凄く美味しいわ」
心からの言葉でした。
「これならね」
「ええ、お刺身も唐揚げもね」
オズマはお箸を上手に使って食べつつナターシャに応えました。
「楽しく食べられるわね」
「犬の国の人達も」
「それは間違いないわね」
「そうですよね、これなら」
「お魚のよさもわかってもらえるわ」
「そうですよね」
「犬もお魚を食べるから」
オズマはトトのことから言いました。
「安心していいわ」
「じゃあ犬の国の人達は」
「多分食わず嫌いだったのよ」
「食べないで、ですか」
「お魚出されて食べられないって怒って」
「それでなんですね」
「猫の国の人達と喧嘩になったのよ」
これがオズマの予想でした。
「だからね」
「それをですね」
「収めるのが私達の今回のお仕事だから」
「河豚を出せばいいわね」
ガラスの猫が横から言ってきました。
「お鍋だけじゃなくてお刺身や唐揚げまで美味しいなら」
「そうーー思いーーます」
チクタクもここで言いました。
「私ーーも」
「そうでしょ、もうね」
「河豚でーーですーーね」
「決まりよ」
まさにというのです。
「あたしが思うにね」
「いえ、まだ色々なお魚を食べてね」
オズマは決定事項にしようとするガラスの猫とチクタクにあえて言いました。
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