空に星が輝く様に
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261部分:第十九話 お化け屋敷その三
第十九話 お化け屋敷その三
「何だかな」
「嫌?」
「いや、頼まれたことはやるさ」
これが陽太郎の返答だった。
「ただな」
「ただなの」
「どうなんだよ、これって」
彼はまた言った。
「応援団で白で今度は黒か」
「うん、対象的に」
「しかし。執事なんてな」
「執事は女の子向けてメイドは男の子向け」
「いや、それはわかるさ」
言うまでもないことだった。それはだ。
「しかし。色々と盛り込んでるな」
「盛り込んでこそ面白い」
とはいってもだ。椎名の今の言葉にはまたしても感情はなかった。
「ただ普通にやっても面白くない」
「ええと、つまりは?」
そのシェフがここまでの話をまとめた。
「メイドと執事と占い師がいてそれとスポーツ新聞がある喫茶店よね」
「そう」
「何か壮絶なまでに色々盛り込んでるけれど」
「そして」
まだ言う椎名だった。
「お店のマスコットも考えたから」
「おい、マスコットもあるのかよ」
「そう、ある」
椎名は今度は驚く狭山に対して述べた。
「それもある」
「それでどんなマスコットなんだ?」
「せんと君」
返答は一言だった。
「それ」
「おい、あれは止めておけ」
「そうよ」
しかしであった。狭山と津島がすぐに抗議した。
「あのマスコットはな」
「止めておいた方がいいわよ」
「うん、冗談だから」
何とフェイントだった。
「それはないから」
「ああ、そうか」
「それはないの」
「そう。それでそのマスコットは」
それが何かをだ。椎名は話した。
「八条グループから借りたから」
「八条グループ?」
「あそこから?」
「そう、あそこに話したら快く承諾してくれた」
そうだというのである。
「だから安心して」
「八条グループのマスコットっていったらな」
陽太郎がそれを聞いて述べた。
「あれか?」
「わかったのね」
「ああ、あれだよな」
そしてだ。言うのであった。
「八ちゃんだよな」
「そう、それ」
具体的にはだ。左胸に八の字のわっぺんをしている小さな女の子である。可愛いイラストで有名な漫画家にデザインしてもらったものである。八条グループ自体のマスコットキャラクターである。
「それにしたから」
「よく承諾してくれたな」
「気前のいいグループだから」
「それでか?」
「そう、電話したら一発だった」
椎名は言う。
「総帥さんに」
「待て、おい」
陽太郎は椎名の今の言葉にはすぐに突っ込みを入れた。
「今何て言ったんだよ」
「だから八条グループの総帥さんに直接電話したの」
「造作もなく言うよな。あそこのグループっていったら」
日本を拠点として太平洋を中心に全世界に進出している。戦前は日本で屈指の財閥であり今は世界で一、ニを争うグループである。
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