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259部分:第十九話 お化け屋敷その一


第十九話 お化け屋敷その一

                   お化け屋敷
 椎名がだ。ホームルームでクラスの面々に話していた。
「文化祭のうちのクラスの出し物だけれど」
「ああ、それよね」
「何するんだ?それで」
「喫茶店」
 こう言うのだった。
「それでどう?」
「喫茶店?いいかも」
「そうよね」
「面白いかもね」
 皆彼女のその言葉に頷くのであった。
「他には何かある?」
 椎名はまたクラスの面々に問うた。
「それで他には」
「他にはねえ」
「ええと、占いとか?」
「他にあるかな」
「壁新聞とかは」
「壁新聞なら」
 ここでまた言う椎名だった。
「一つ考えがあるから」
「考えってどうするんだよ」
 狭山が自分の席から教壇のところに赤瀬と共に立つ椎名に問うた。
「壁新聞については」
「新聞を置く」
 そうするというのであった。
「大スポと八条スポーツを」
「何でスポーツ新聞なんだ?」
 狭山はこのことを突っ込んだ。
「朝日とか読売とかは置かないのかよ」
「朝日嫌いだから」
 椎名はぽつりと言った。
「嘘ばかり吐く新聞は嫌い」
「朝日は嘘吐きかよ」
「大嘘吐き」
 まさにそうだというのだった。
「朝日は何度も前科ある。朝日と毎日とテレビは観ていたら馬鹿になる」
「馬と鹿か」
「そうなる」
 椎名はこう言って引かない。
「だから朝日は駄目」
「読売は言うまでもないよな」
「巨人は大嫌い」
「うんうん、わかるわかる」
「巨人についてはね」
「俺も嫌いだし」
「私も」
 皆巨人については口々に話す。関西だからである。巨人が嫌いな人間は非常に多い。巨人が嫌いということは人間のコモンセンスである。
「じゃあ読売は置かないってことで」
「それで大スポと八条スポーツって」
「それがわからないけれど」
「大スポは最高だから」
 椎名は言った。
「宇宙人が出て来る新聞は読まないと損する」
「あれって全部嘘だよな」
「っていうかまともな記事ないよな」
「全部ネタだけれど」
「ネタだからいい」 
 椎名はそれでいいというのであった。しっかりとした言葉だった。
「意図的に嘘を流したり事実を隠蔽したりする新聞やテレビよりずっといい」
「っていうかさ」
 今度言ったのは津島であった。
「マスコミが嘘流したら報道資格剥奪されない?」
「だよなあ。そうならない?」
「なるよな」
「日本だとならない」
 だが椎名はまた言った。
「それが日本だから」
「マスコミは嘘書き放題ってことかあ」
「そういえば古館とか鳥越とかって胡散臭いよね」
「確かにね」
「死んだ筑紫哲也にしても」
「そういう顔触れは顔も見ない方がいい」
 椎名の今の言葉には嫌悪が含まれていた。
「少なくとも私は見ない」
「それで八条スポーツは面白いから」
「それでなの?」
 皆こう話題を変えてきた。
 
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