ねここい
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第2話
前書き
みなさん、曲がり角は注意しましょう。
テンプレが発生するとは限りません。
♫一年生になった~ら 一年生になった~ら
♫恋人一人は出来るかな?
何て歌を脳内で歌いながら新生活の舞台である“桜花学園”までの途次にある交差点(車通りの多い交差点は免除)で、テンプレである“美少女とのぶつかり胸キュン出逢い”の為に、ぶつかりやすい様に早足で歩いて登校。
学校まで残り交差点4つ……
未だに誰ともぶつからないし、出会う事もない。
別に『♫恋人100人できるかな』何て事は思ってないんだよ……一人で良いんだよ!
しかし、その4つ目の交差点左方向から、遂に人の気配がしてきました。
このチャンスを逃すわけにはいかない。
そう思った俺は、フライング気味に早足になり、ごっつんを決行。
(ドン!)「痛っ!」「痛ぇ!」
知らなかった……人にぶつかると結構痛いのね。
しかも俺みたいなヒョロイ男は、簡単に弾かれるのね。
でもでも、相手だって同じはず。
尻餅をついて、上手くいけばパンツ丸見えになってるかもしれない。
俺は素早く相手の方へ視線を向けた。
「お前、何処見て歩いてんだよ!」
「え、男!?」
そ、そんな馬鹿なぁ!!!
「あ゛? お前アレか……可愛い女の子にぶつかって、それを切っ掛けにあわよくばエロい仲になっちゃおう……何て考えてたのか!」
「ち、違うよ!」
俺とぶつかった男は、スマートに立ち上がると心の中を読んだかの様に俺の野望を的中させた。
“角でぶつかった=テンプレ出逢い希望”って思考は如何なんだ?
そんな事を考えてた男なんて、今は俺くらいだろうに……
「違う物か! 俺と同じ制服を着てるって事は、お前も桜花学園だろ。しかも真新しい制服……これも俺と同じで新入生だな。って事は、この交差点を直進……お前から見て直進のハズ。なのに意味も無く早足で左折してきた。極めつけは俺の事を見るや『男』の一言。普通の思考回路を保った人間ならば、人にぶつかった直後は“謝る”か“怒る”の二者択一。だがお前はそのどちらでもなかった」
な、何だコイツ……
あの一瞬でそこまで論理的に物事を考えるのか?
も、もしかして名探偵的な高校生?
「ご、ごめんなさい」
取り敢えず謝ろう。
俺に非がある事には間違いないのだし、敵に回さない方が良い気がする。
「ん。まぁいいだろ。ほら、何時までも座り込んでると遅刻するぞ」
俺の謝罪を素っ気なく受け入れると、ヘタリ込んでる俺に手を差し伸べ立たせる。
するとそこへ……
「リューくぅ~ん! 待ってよぉ~~~」
と可愛い声が聞こえたと思ったら、俺とぶつかった男へ何者かが悪質極まりないタックルを敢行した!
「ぐはぁ!」
何とタックルしたのは絶世の美少女!
黒く綺麗な髪をツインテールにしており、それとは対照的な真っ白で綺麗な肌。
ちょっと動くだけで艶容に揺れる大きな胸……視線を下げれば唯でさえ短い桜花学園の制服のスカートを更に短くしており、タックル時にはチラリと白い下着が……
黒のニーソックスは彼女の白い肌をより美しく飾っている。
「ゆ、幸……お前は日大のアメフト選手か? タックルが悪質すぎるぞ!」
「ごみ~ん……でもリュー君が先に行っちゃうからぁ」
俺より悪質なタックルだったが男の方は倒れず踏み止まった。流石に俺の方が体重が重かったって事だろうか?
「か、彼女……かな?」
こんな美少女が俺に惚れるわけ無い、そう思うも“幸”と呼ばれた美少女がフリーなのかを確認してしまう。だが聞いてしまった理由はそれだけじゃ無い……この男、俺が言うのも何だが、そんなにイケメンではない。俺と同レベル……パッとした容姿じゃないんだよ。なのに何で、こんなに可愛い彼女が居るのか!?
「彼女じゃねーよ」
「ふっ、今はね」
ぞんざいに彼女否定されたにも拘わらず不敵な笑みを見せ男の腕に抱き付き歩き出す二人。
「おい。何時までそこに突っ立てるつもりだ? 入学早々遅刻するぞ」
彼女へのぞんざいな口調を俺にまで向けてはいるが、遅刻の心配をしてくれる彼氏。
悪い奴じゃないのかな?
とは言え……
学校までの数分間、イチャイチャを見せ付けられたのは苦痛だった。
長い長い校長先生の多分有難いお話しを終え、恙無く入学式が閉会し、割り当てられた新たな教室へと到着した。
ここに来るまで距離は兎も角、精神的に長い道程だった気がする。
如何して世の中の校長先生ってのは話しが長いんだろうか?
「よう、お前もこのクラスだったのか!」
誰もが思うであろう疑問をシミジミ噛み締めていると、後ろの席から気安く声をかけられる。
しかも聞き覚えのある声だ。
「や、やぁ……き、奇遇だねぇ」
何と俺の後ろの席には、今朝ぶつかった男が座っていた!
先方からは今朝の衝突について何も言ってこないけど、何だか気が引ける。
「俺“蔵原 竜太”ってんだ。何かの縁だし宜しくな」
「あ、どうも……俺は大神音彦です」
ワザとぶつかった罪悪感からか、何故だかコイツには敬語を使ってしまう……
とは言え、あの彼女は可愛かったので、同じクラスなのか尋ねてみる。
「あの……今朝の彼女さんは……同じクラス……なの?」
「だから彼女じゃねーって! 幸は隣の1年3組だ」
「あぁそうなんだ……」
ホント、頑なに彼女否定を続ける蔵原。
あんなに可愛いんだから認めちゃえば良いのに。
「ところでさ……このクラスって可愛い娘が多くね? ちょ~ラッキー!」
何だコイツ……
あんなに可愛い彼女が居るのに、脇目も振らず浮気願望を露出してきた。
「ほら、あの娘! 窓際のあの娘なんか凄ー可愛いじゃん!」
男というのは悲しい生き物で、“可愛い娘”って言われると思わず見てしまう生き物なのです。
そして俺も男……可愛い娘という言葉に標準的反応を示してしまう。
「……!!??」
だがしかし、俺の目に映ったのは……
後書き
♫一年生になった~ら 一年生になった~ら
♫恋人一人は出来るかな?
♫一人で十分だ!
♫朝日を見ながら朝食を
♫二人で一緒に食べるんだ!
蔵原竜太登場!
こいつぁ波乱の予感だぜぇ!
因みに上の歌、蔵原君バージョンもあるよ。
♫一年生になった~ら 一年生になった~ら
♫恋人一人は出来るかな?
♫一人で十分だ!
♫ホテルに連れ込み 服脱いで
♫パッコン パッコン パッコンと……
追伸:
次話には85・55・88登場。
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