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レーヴァティン

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第六十一話 伊勢へと続く道その六

「人は絶対に老い死にます。それに」
「それに?」
「始皇帝は水銀も口にしていまして」
「水銀!?」
 この金属のことを聞いてだ、愛実はすぐに顔をこれ以上はないまでに顰めさせた。そうしてこう良太に言った。
「水銀は身体に毒っちゃよ」
「そうですね」
「身体に入ると大変だっちゃ」
「このことは鉛と同じですね」
「鉛も水銀も駄目っちゃよ」
 その両方がというのだ。
「始皇帝はそんなのを飲んでいたっちゃ」
「不老長寿の薬として」
「それでっちゃ」
「水銀中毒だったそうです」
「それじゃあ死ぬっちゃよ」
 それこそと言う愛実だった。
「どれだけ身体にいいものを食べていても」
「実際にそのせいで」
「始皇帝は死んだっちゃ」
「水銀中毒、他にそうしたものも口にしていたかも知れません」
 その結果として、というのだ。
「五十歳で亡くなりました」
「不老不死にならずにっちゃな」
「そして始皇帝が死に」
 良太は中国の歴史をさらに話した。
「秦も滅びました」
「その後で漢が出来たっちゃな」
「それは歴史にある通りです」
「項羽と劉邦も後でっちゃな」
「そうなりました」
「そうだっちゃな」
「虎の肉にはそうした効用もあると言われています」
 始皇帝が毎食口にしていたその部分にというのだ。
「その様に、しかし」
「この通りの味っちゃな」
「左様でえあります」
「次はいらないっちゃよ」
 その虎の肉はというのだ。
「どうしてもっちゃ」
「他になにもない時以外はですね」
「それがうちの感想っちゃ」
 食べてみてのそれだというのだ。
「嘘じゃなくてこう思ったっちゃよ」
「それは冒険の状況次第だ」
 英雄は無言で食べていたがここで愛実に話した。
「何を食うかはな」
「そうだっちゃな」
「そうだ、ただ肉だけでなくな」
「お茶もっちゃな」
「これも飲め」 
 愛実の目の前の椀に入っているそれを見ての言葉だ。
「いいな」
「栄養の為だっちゃな」
「茶は身体にいい」
「起きた世界で言うビタミンが豊富っちゃからな」
「どんどん飲め」
「わかってるっちゃよ」
「そうして肉以外も口にしてな」
「そうしてっちゃな」
 今度は愛実から言った。
「伊勢に向かうっちゃな」
「そうしていくぞ」
「伊勢に行くとでござる」
 智も虎の肉を食いつつ述べた。
「色々と食べられるでござるよ」
「栄養の面でもっちゃな」
「海の幸も山の幸も豊富でござる」
 その両方がというのだ。
「だからでござる」
「そうだっちゃな、それではっちゃ」
「伊勢に向かうでござるよ」
「そうするっちゃ」
 こう話してだ、一同は。
 虎を食べた後で眠りに入った、そうして次の日も朝早くに起きて伊勢に向かい伊勢には予定通りの時間に着いた。 
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